オペアンプにはどんな種類がありますか?

表 TC75S51FU 電気的特性 抜粋
表 TC75S51FU 電気的特性 抜粋

1.プロセスによる分類
オペアンプは、使用しているプロセスから、2つに分けることができます。CMOSは電圧制御素子であるため、直流の入力バイアス電流IIが低く低消費電流です。ただし、一般的に使用されるCMOSプロセスは耐圧が低く電源電圧5V以下の低電圧用途に多く使用されます。これに比べ、バイポーラ プロセスは耐圧が高く、単電源の製品で使用可能な電源電圧が12V、両電源の製品で±18Vを許容しています。
1/fノイズに関してはバイポーラタイプが有利です。このノイズの主要因はSi結晶の乱れです。この乱れはウェハ表面に多く存在します。従ってジャンクション面がデバイス表面に近いMOSトランジスタに対して、素子内部にジャンクション面を持つバイポーラトランジスタの方が有利となります。最近ではCMOSプロセスの向上によりCMOS製品でも低ノイズ製品が出てきています。このため、ほとんどの場合CMOSプロセス製品が使用されるようになってきました。

2.電源方式による分類
オペアンプでは電源の種類として、単一電源と両電源を規定しているものがあります。単一電源はGNDを基準としてVCCにプラス電圧を印加して使用します。両電源はGNDを基準としてVCCにプラス電圧、VEEにマイナス電圧を印加して使用します。単一電源と規定されているものでも、最低電位から最高電位までの電位差が最大定格の項目 “電源電圧” “差動入力電圧” の範囲を超えなければ、両電源で使用可能です。 (この場合、オペアンプ内部の各電源はGNDを基準にしないことから電源ノイズに注意が必要です。)
ただし、一般的にオペアンプは入力電圧範囲がGND側 (マイナス側) に偏っています。このため、プラス側の入力可能な範囲が狭くなることに注意してください。例としてTC75S51FUの電気的特性の一部を表に示します。入力電圧範囲として同相入力電圧 (Common mode input voltage) が規定されています。表は単一電源で使用する場合の同相入力範囲です。仮に±1.5Vの両電源で使用する場合、同相入力電圧は-1.5Vから+1.0Vと読み替えることが可能です。この場合、VCCから0.5Vの範囲の信号を入力しても利得が小さくなるなど正常な出力は得られない可能性があります。

オペアンプにはどんな種類がありますか?

3.入力回路による分類
オペアンプの入力回路は図のようになっています。Pch MOSFETで構成された差動入力段、Nch MOSFETで構成された差動入力段、フルレンジオペアンプで使用されるPch MOSFETとNch MOSFETの両方で構成された差動入力段があります。 (ただし、実際にはNch MOSFETで構成された差動入力段を持つオペアンプはほとんどありません。) 回路の構成から、Pch MOSFETの場合は、電源から少し下がった電圧までの範囲では正常に信号が出力できません。同様にNch MOSFETの場合はGNDから少し上がった電圧範囲まで正常に信号が出力できません。フルレンジオペアンプは、この両者の良いとこどりをする形で電源からGNDまでの全ての範囲で正常な信号を出力できます。

4.特長による分類
上記以外に電気的特性に特長で分類することもあります。用途に合わせて選択してください。

関連リンク

以下の資料にも関連する説明がありますので、ご参照ください。