抵抗内蔵型トランジスター(BRT) hFEについて

抵抗内蔵型トランジスター(BRT)は図に示すように、R1とR2の抵抗を内蔵したトランジスター*です。
BRTのhFEの定義は一般のバイポーラートランジスターと定義が異なり、以下の式で表されます。

hFE = IC / IB = IC / ( Ib + IR2 ) ・・・(1)
IR2 = Vbe / R2 = 0.7** / R2 ・・・(2)

一般的なトランジスター、またはR1のみを内蔵したBRTの場合、IB=IbなのでhFEは下式になります。

hFE = IC / Ib ・・・(3)

(1)式の分母にはIR2の項が含まれます。この点が一般のバイポーラートランジスターと異なる部分です。
① 式(2)に示すようにIR2はR2に反比例し、R2の大きい製品ほどhFEが高くなります。
② 分母のIbはICと比例しますが、IR2はR2にのみ依存する固定値です。このことから、コレクター電流の低い領域でR2の影響が大きくなり、hFEが低下します。
当然のことですが、R2の無い製品・通常のバイポーラートランジスターではこの傾向は見られません。***

*    : R2の無いタイプの製品もあります。

**    : Vbeはコレクター電流ICにより増減しますが、大きくは変化しませんので固定値(0.7V)と考えます。

***  : さらに低電流の領域では、リークなどの影響により類似の減少が確認されることがあります。 

図-1 同じベース抵抗 R<sub>1</sub>で異なるベース・エミッター間抵抗を持つBRTのh<sub>FE</sub>比較
図-1 同じベース抵抗 R1で異なるベース・エミッター間抵抗を持つBRTのhFE比較
図-2 BRT基本回路
図-2 BRT基本回路