IGBTの並列接続は可能ですか?また、どのような注意が必要ですか?

並列接続時のゲート抵抗配線と寄生インダクタンス
並列接続時のゲート抵抗配線と寄生インダクタンス

IGBTの並列接続は避けて定格の大きいデバイスをご使用いただくことを推奨致しますが、止むを得ず並列運転を行う場合は、次の点を留意の上設計いただくようにお願いします。

  1.  IGBTの順方向特性VCE(sat)は、電流の大きい領域で正の温度依存性を持ちますが、多くのIGBTは低電流および実使用領域では負性特性を示します。このような製品を並列接続した場合、低VCE(sat)の製品に電流が集中、温度が上がることにより更にそれが加速する結果となります。並列するIGBTの電流バランスを取るためには、各IGBTのVCE(sat)の合わせ込みを行ってください。
  2. 並列接続する各IGBTの外部直列ゲート抵抗RGを一つにまとめた場合、ゲートーエミッター間が発振し、コレクター電流・電圧の発振現象を引き起こす可能性がありますので注意が必要です。これを防ぐためには下図に示すように各々の素子に個別にゲート抵抗(図中のRG1とRG2)を挿入すること並びにゲートドライブ閉回路の寄生インダクタンス成分を抑制するように設計する必要があります。
  3. 主回路の寄生インダクタンス成分は、スイッチング時の発振、サージ電圧および電流不平衡など異常動作の要因に結びつくことがあります。代表的には下図のような寄生インダクタンスLS*が問題となりますが、これらの寄生インダクタンスを限りなく零化するようにパターンレイアウト設計を考える必要があります。並列運転の場合、特にLS1およびLS2を零化できるように主回路からの配線パターンを設計する必要があります。