ダイオードの特性は熱によりどのように変化しますか?(温度特性)

Siダイオードでは一般的に、温度が上昇すると、順方向電圧VFは小さくなり、逆方向もれ電流IRは大きくなります。

半導体は全般に周囲温度、動作温度により特性が変化します。Siダイオードでは一般的に使用領域で以下のように特性が変化します。

  • 順方向電圧VFは温度が上昇すると小さくなります。(図-1)
  • 逆方向もれ電流IRは温度が上昇すると大きくなります。(図-2)
図-1 Si pn接合ダイオード I<sub>F</sub>-V<sub>F</sub>特性 (順方向温度特性)
図-1 Si pn接合ダイオード IF-VF特性(順方向温度特性)
図-2 Si pn接合ダイオード I<sub>R</sub>-V<sub>R</sub>特性(逆方向温度特性)
図-2 Si pn接合ダイオード IR-VR特性(逆方向温度特性)

これは主に以下の理由によります。

  1. 抵抗成分の変化:熱により原子の格子振動が激しくなり、電子の拡散に対して障害となる
  2. 伝導電子の数の変化:熱によりドナー電子の持つエネルギーが大きくなり伝導体へ励起しやすくなる

ワイドバンドギャップ半導体であるSiCはSiに比べ結合力が強く格子振動の影響がSiに比較して大きくなります。また、バンドギャップが大きいことからドナーが励起しにくくなります。このため、SiとSiCでは、使用領域での温度特性が少し異なります。
以下にSiショットキーバリアダイオード(SiC SBD)とSiCショットキーバリアダイオード(Si SBD)のIF-VFカーブを示します。
Si SBDでは負の温度特性(温度が上がるとVFが下がる)SiC SBDでは使用領域で正の温度特性を示します。SiでもSiCと同様に使用領域を超えた高い電流レベルでは正の温度特性を示します。

図-3 SBDの温度特性
図-3 SBDの温度特性

ショットキーバリアダイオードを例に説明しましたが、図-1に示すようにpn接合ダイオードでも同じ傾向を示します。
このような温度特性により、SiダイオードではSiCダイオードよりも熱暴走する可能性が高くなります。
回路設計時には、温度による特性の変化を確認し設計することが必要です。

関連リンク

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