IGBTとは何ですか?

IGBTは絶縁ゲート型バイポーラートランジスター(Insulated Gate Bipolar Transistor)の略で、図(a)の記号で示されます。入力部がMOS、出力部がバイポーラー構造となっており、バイポーラーモードで動作するパワートランジスターの一種です。図(b)は、IGBTの構造例を示しています。MOSFETのドレイン側にP層が形成され、オン時はこのP層からのホール注入により高抵抗N層(ドリフト層)の抵抗値が低下する伝導度変調を利用しており、高耐圧で低オン電圧特性をもつスイッチングトランジスターを実現しています。内部等価回路は複雑ですが、簡易的には図(c)のようにダイオードとオン抵抗が変化するNch MOSFETの直列回路としてみなすことができます。

IGBTは、高耐圧・大電流に最適なトランジスターであり、電圧定格で 400 V~2000 V、電流定格で 5 A~1000 A の製品が実用化され(*1)、各種インバーター機器、UPSの産業用からエアコン、IH炊飯器などの民生用さらにはEV用モーター制御の車載用と幅広く使用されています。

(*1)車輌、直流送電などの特殊大型機器用に~6 kV、~4500 A クラスの製品もあります。

 

(a) IGBTの記号(Nch型)
(a) IGBTの記号(Nch型)
(b) 標準的なIGBTの構造
(b) 標準的なIGBTの構造
(c) IGBTの簡易等価回路
(c) IGBTの簡易等価回路