バッテリー機器を長時間駆動するためには?

バイアス電流を大幅に削減したLDOレギュレーター

バッテリー駆動のIoT機器は、高機能化に加えて長時間駆動への要求がますます強くなっています。この要求に応えるためには、バッテリー側だけではなく、機器側でもセンシングやデータ通信を行うアクティブ期間よりスタンバイ (スリープ) 期間を出来る限り長くして平均消費電力を減らすといった工夫が必要です。
当社TCR3Uシリーズは無負荷時のバイアス電流を従来品から大幅に削減しました。また、規定の出力電圧よりも入力電圧が低下した場合に、従来品で見られたバイアス電流の急増がない回路構成としています。その一方、低消費電流でありながら優れた負荷過渡応答性能を実現、アクティブ動作時の出力電流の急しゅんな変化にも安定して動作します。

バイアス電流に関して

グラフ

バイアス電流は出力電流がながれていないときにLDOレギュレーターの入力に流れる電流で、LDOレギュレーター自体を動作させるのに必要なものです。
LDOレギュレーターの出力は各種センシングやデータ通信などさまざまな機能ブロックの電源として利用されますが、これらの機能は常時動作しているわけではなく、動作していない期間もあります。この状態ではこれらの機能の電源となるLDOレギュレーター出力はほとんど電流を流さないので、できるだけこれらの機能の動作時間を短くして機器全体の平均消費電流 (電力) を減らす対策が行われます。このときにはバッテリーからはバイアス電流だけが流れることになりますので、消費電流を減らすうえでこの特性は重要です。TCR3Uシリーズは従来製品から大幅にバイアス電流を減らすことに成功しました。出力電流が20 μA以下の低い領域では、0.4 μA以下に抑え、機器全体の省電力化と長時間駆動の実現に貢献します。

グラフ

また、TCR3Uシリーズはバイアス電流を削減しつつ、負荷過渡応答特性も従来品より改善しました。
一般的にバイアス電流を減らすとレギュレーターの性能が低下します。出力電流が急に増減した時に発生する出力電圧の変動の大きさを示す負荷過渡応答もその一つです。バイアス電流を減らすことによりこの特性は悪化するというトレードオフの関係にありますが、TCR3UGシリーズは回路構成を見直し、詳細に検討することでこの両方を改善することに成功しました。

グラフ

そのほか、TCR3Uシリーズにはバッテリーの消耗などで入力電圧が既定の出力電圧を下回った場合にバイアス電流が増えないという特長があります。このような場合、従来品ではバイアス電流が急増してバッテリー消耗の要因となっていましたが、TCR3Uシリーズはこの現象が発生しないような回路構成として、少しでも電池寿命を延長できるよう考慮して設計されています。

特に記載のない場合
@VIN=VOUT+1 V (VOUT>1.5 V), VIN=2.5 V (VOUT≦1.5 V), IOUT=50 mA, CIN=1.0 μF, COUT=1.0 μF

品番

TCR3UMシリーズ

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TCR3UGシリーズ

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TCR3UFシリーズ

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データシート

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パッケージ

名称
(パッケージコード)

DFN4

DFN4

WCSP4F

WCSP4F

SMV (SOT-25)

SMV (SOT-25)

サイズ  (mm) 1.0×1.0×0.60 0.645×0.645×0.33 2.9×2.8×1.1

動作範囲

出力電流 (mA)

0~300

出力電圧 (V)

0.8~5.0

入力電圧 (V) 1.5~5.5

電気的

特性

バイアス電流 (μA) Typ. @IOUT=0 mA

0.34

ドロップアウト電圧 (mV) Typ.

@VOUT=3.3 V, IOUT=300 mA

196

140

206

負荷過渡応答 (mV) Typ.

@IOUT=1→50 mA

-51

-60

-51

負荷過渡応答 (mV) Typ.

@IOUT=50→1 mA

36

60

36

ドキュメント

名称 日付

リファレンスデザイン

LDOレギュレーター TCR3UGシリーズIoT機器向け電源回路への応用