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長距離通信と低消費電力を両立したBluetooth® low energy SoCの開発について

2018年 6月 20日
東芝デバイス&ストレージ株式会社

世界最高のリンクバジェットを低消費電力で実現

当社は、IoT機器向けに、世界最高注1となる113dBのリンクバジェット注2と送信電力効率22%との両立を実現したBluetooth® low energy Ver.5.0規格準拠のSoC(System on a Chip)を開発しました。本技術により、従来製品の約4.6倍注3である600mの長距離通信を、同水準の通信距離を持つ一般的な製品に比べて7割程度の消費電力注4で実行可能です。本技術の詳細を、ホノルルで開催される半導体国際会議「VLSIシンポジウム2018」にて、6月19日(現地時間)に発表しました。

近年、IoT関連技術の普及により、スマートウォッチや活動量計などウェアラブル機器から、産業機器、医療機器に至る幅広い用途でIoT機器が活用されています。それに伴ってIoT機器の高機能化が進み、通信機能においてもさらなる長距離通信や消費電力の抑制が求められています。

Bluetooth® low energyは、低消費電力を特長とした無線通信の規格であり、現在多くの機器に採用されています。一方、従来のBluetooth® low energy SoCでは、送信出力が増加すると、不要波と呼ばれるデータ通信とは無関係の電波放射が大きくなり、電波法の規制を超えるリスクが高くなることが知られています。また、不要波抑制と電力効率はトレードオフの関係であり、長距離通信と低消費電力を両立させることが困難でした。

そこで当社は、Bluetooth® low energy SoC内の電力増幅器において、これらの課題に対応する2つの技術を開発しました。

第一に、電力増幅器における不要波の抑制能力を向上させる技術です。従来は、電力増幅器の駆動部分でフィードバック制御注5を実施することで、不要波を抑制していました。しかしこの手法では、調整対象が最終的な出力ではないため、出力部分で発生した不要波を補正できないという欠点がありました。また、最終的な出力を調整対象とした場合、補正が完了するまで過渡的な不要波が発生してしまうため、同回路をデバイスに実装することは困難でした。当社が開発した回路は、フィードバック制御を行う回路にプリセット機能注6を追加することで、補正中でも不要波を抑制し最終的な出力からフィードバック制御することができました。

第二に、出力部分における電力効率を改善させる技術です。電力増幅器の出力部分は2つのスイッチトランジスタから構成されていますが、従来は2つのスイッチトランジスタが同時にオン状態になる瞬間があり、その際に貫通電流と呼ばれる大きな電流が流れ、消費電力を増加させていました。当社は、2つのスイッチトランジスタを別々に制御する構造を採用することで、貫通電流を防ぎ、消費電力を抑制することに成功しました。

これら2つの技術を組み合わせることで、不要波と消費電力を抑制しながら、送信出力を増加させることが可能となりました。

なお当社は、本技術を採用したBluetooth® low energy Ver.5.0 規格の製品を本年1月からサンプル出荷しており、9月に量産出荷を開始する予定です。今後も、本技術をはじめとした無線通信関連の技術開発を促進し、IoT機器の利便性向上に貢献していきます。

注1 Bluetooth® low energy Ver.5.0規格に準拠した製品において、2018年1月時点、当社調べ。

注2 リンクバジェット:送信電力(単位:dBm)と受信感度(単位:dBm)の差を指し、大きいほど長距離通信が可能であることを示す指標。

注3 当社製の従来製品「TC35678」との比較

注4 送信時の電流9.7mA、受信時の電流5mAで動作

注5 フィードバック制御:出力波形の非対称具合を常時に検知し、その波形が対称になるように駆動部分を調整すること。

注6 プリセット機能:フィードバック制御が開始する前に、あらかじめ回路の動作状態を予測した収束状態に近づかせる機能のこと。

*Bluetooth®ワードマークは、Bluetooth SIG, Inc.が所有する商標です。

今回開発した技術と従来技術の比較

今回開発した技術と従来技術の比較

本技術の適用による通信距離の増加

本技術の適用による通信距離の増加

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