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電力効率とEMIノイズを高精度かつ高速に予測できるIGBT・IEGT向け回路モデル技術を開発

2019年 6月 14日

東芝デバイス&ストレージ株式会社

当社は、電力効率とEMI注1ノイズを高精度かつ高速に予測できるIGBT注2・IEGT注3向け回路モデル技術を開発しました。本技術により、従来技術と比較して、電力効率の予測値の誤差率は20分の1以下に改善し、シミュレーションの実行時間は30分1以下に短縮できます注4。本技術の詳細を、中国・上海で開催されたパワー半導体国際学会「ISPSD2019」にて発表しました。

 

IGBTやIEGTなどの高耐圧なパワーデバイスは、近年、自動車の電動化や環境対応車の普及、再生可能エネルギーによる発電量の増加などを背景に、市場の拡大が見込まれています。一方、これらの高耐圧パワーデバイスは、電子とホール両方の動きを考慮する必要があり、複雑な素子の構造をしているため、開発の効率化に求められる高精度な回路モデルが確立されていませんでした。具体的には、ターンオン特性で実測値とシミュレーションの値にかい離があり、予測されていなかったEMIノイズが発生して機器に不具合が生じることがありました。逆にEMIノイズを吸収しようとすると、抵抗が必要になり、機器の電力効率が落ちてしまいます。

 

そこで当社は、長年培ってきた回路モデル技術と、パワーデバイスに関する知見を活用し、新たな回路モデルを開発しました。今回開発した回路モデルには二つの特長があります。

第一に、理想ダイオード注5とRC回路を組み合わせたサブ回路を並列に二つ追加した点です。従来は、電子とホールのどちらか一方の動きのみを計算するモデルでしたが、今回は並列のサブ回路構造を採用することで、電子とホールの動きを模式的に表現できるようになり、バイポーラ素子特有の複雑なスイッチング特性のより高精度な予測を実現しました。

第二に、スイッチング動作中の容量の経時変化に対応する機能を備えた点です。従来の回路モデル内には、素子にかかる電圧に対して一定の値で動作する容量モデルが使用されていましたが、今回は素子にかかる電圧の変化に対応して容量値が非線形的に変化していく容量モデルを組み込んでいるため、スイッチング時に発生するEMIノイズをより現実に近い状況で予測できます。

 

これらの特長を備えた回路モデルにより、これまで素子の挙動を正確に表現することが難しいとされてきたIGBTやIEGTにおいても、高精度な回路シミュレーションが実行可能です。また、今回の技術は、モデル構成が最適化されているため、従来技術と比較してシミュレーション時間を30分の1以下に短縮できます注4

 

当社は、今回開発した技術のさらなる精緻化を進め、早期の実用化を目指します。今後も、回路モデル技術の開発を促進し、機器のより効率的でスムーズな開発の実現に貢献します。

注1 EMI:Electro Magnetic Interferenceの略。外部の電磁波や電場、磁場の影響を受け、電子回路が誤作動すること。

注2 IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistorの略。MOSFETをベース部に組み込んだバイポーラトランジスタのこと。

注3 IEGT:Injection Enhanced Gate Transistorの略。電圧駆動で大電流を制御できるパワーデバイス。 IGBTを高耐圧化すると急激にオン電圧が増大する問題を、エミッタ側の素子構造を工夫することによって克服している。

注4 電流源とRCを組み合わせて表現した一般的な下記の回路モデルとの比較。2019年5月時点、当社調べ。

注5 理想ダイオード:順方向電圧が0V、オン抵抗が0Ω、オフ抵抗が無限のダイオードのこと。

従来の回路モデルと今回開発した回路モデルの比較

従来の回路モデル

今回開発した回路モデル

今回開発した回路モデルによる誤差率の改善

今回開発した回路モデルによる誤差率の改善

今回開発した回路モデルによる誤差率の改善

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