2019年 12月 10日
東芝デバイス&ストレージ株式会社
当社は、機能安全[注1]に対応したマルチ出力の車載向け汎用システム電源IC「TB9045FNG」を製品化しました。新製品は、1.1Vから1.5Vまでの出力電圧により4製品をラインアップしています。今月から量産を開始する予定です。
非常に高い安全性が要求される電動パワーステアリングシステム (EPS: Electric Power Steering)やブレーキシステムなどには、機能安全規格ISO 26262で規定されている最も高い自動車安全度水準であるASIL-D[注2]を求められるケースが多くなっています。
新製品は、製品自体の動作異常を監視する機能として、電源の高電圧・低電圧検出、過熱検出、周波数異常検出を内蔵し、外部のマイコンの動作異常に対する監視機能として、ウオッチドッグタイマー異常検出回路を内蔵しています。さらに、Latent-fault (潜在的な故障) を検出するために、異常検出回路の診断回路を内蔵し、機能安全の向上を図っています。
加えて、当社では様々なシステム異常を想定した機能安全分析を実施しており、ユーザーが安全設計・安全分析を行う上で必要な機能安全FMEDA[注3]などの各種ドキュメントを提供します。
1.昇降圧型DC-DCコンバーター回路内蔵
車載バッテリーから高効率DC-DCコンバーターで6Vを生成します。また、アイドルストップ時に一時的に電圧が低下するクランキング動作を考慮し、バッテリー動作の電源電圧範囲は2.7V (min.) としています。
2.降圧型DC-DCコンバーター回路内蔵 (電圧選択可能)
DC-DCコンバーターで生成された6V電源を入力とするDCDCコンバーター電源を内蔵しています。
出力電圧は製品ごとに異なり、TB9045FNG-110は1.1V、TB9045FNG-120は1.2V、TB9045FNG-125は1.25V、TB9045FNG-150は1.5Vです。MCUの仕様に合わせてコア用外部電源として使用することが可能です。
3.シリーズ電源[注4]4回路内蔵 (4出力)
DC-DCコンバーターで生成された6V電源を入力とする4回路のシリーズ電源を内蔵しています。
マイコン用の5V定電圧 (電流容量400mA) 1回路と、センサーやその他インターフェース用の5V定電圧出力 (電流容量100mA) 3回路から、独立して電圧出力可能です。
4.各種異常検出回路 (機能安全を考慮)
バッテリー電源の低電圧検出回路、DC-DCコンバーター(6V)の高電圧検出回路、DC-DCコンバーター(1.1V/1.2V/1.25V/1.5V)及びシリーズ電源(5V)の高電圧/低電圧検出回路、IC内部過熱検出回路、IC内部発振周波数監視回路、MCU監視用ウオッチドッグタイマー回路を内蔵しています。
5.異常検出回路の診断回路 (機能安全を考慮)
Latent-fault (潜在的な故障) を検出するため、異常検出回路の診断回路を内蔵しています。
6.異常時の動作を選択可能
異常を検出した時、システムにリセットを出力するのか、またはシステムに通知するのみとするのかをSPI通信[注5]のレジスター設定を変えることにより選択することが可能です。これにより、アプリケーションやシステムの違いによってIC制御、またはシステム制御を選ぶことが可能になるため、様々なシステムに適用することができます。
品番 |
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出力電圧 |
400mA出力(1回路): 5.0V±0.1V (typ.) 100mA出力(3回路): 5V±20mV (typ.) 800mA出力(1回路) TB9045FNG-110: 1.1V(typ.) TB9045FNG-120: 1.2V(typ.) TB9045FNG-125: 1.25V(typ.) TB9045FNG-150: 1.5V(typ.) |
出力電流能力 |
400mA出力(1回路)、100mA出力(3回路)、800mA(1回路) |
動作電圧範囲 |
2.7~18V |
異常検出回路 |
バッテリー電源の低電圧検出回路、DC-DCコンバーター(6V)の高電圧検出回路、シリーズ電源(5V)の高電圧/低電圧検出回路、IC内部過熱検出回路、IC内部発振周波数監視回路、MCU監視用ウオッチドッグタイマー回路 |
パワーオンリセット |
外部コンデンサによる時間調整可能 |
ウオッチドックタイマー |
ウインドウ方式(高速検知及び低速検知は独立して時間選択可能) |
ウオッチドック停止制御 |
ウオッチドックタイマーセレクト(WS端子)による動作と停止切替可能 |
動作温度範囲 |
-40~125℃ |
パッケージ |
HTSSOP48-P-300-0.50(6.1mm×12.5mm×1.0mm) |
量産開始予定時期 |
2019年12月 (100万pcs/年) |
[注1] 機能安全とは、電気・電子システムの機能不全が引き起こす故障によるリスクを許容できるレベルまで下げるという考え方です。特に第三者に対して、システムが安全であることを合理的に説明できることが重要となっています。自動車向け機能安全の規格である「ISO26262」では、機能安全を正しく実現するための開発プロセスなどが規定されています。
[注2] ASIL: Automotive Safety Integrity Level (自動車安全度水準)
[注3] FMEDA: Failure Modes Effects and Diagnostics Analysis (故障モード影響診断解析)
[注4] 負荷に直列に電圧制御素子が接続された、定電圧電源回路
[注5] SPI: Serial Peripheral Interface (同期式シリアル通信)
新製品のさらに詳しい仕様については下記ページをご覧ください。
当社の車載システム電源ICの詳細については下記ページをご覧ください。
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