2021年6月23日
東芝デバイス&ストレージ株式会社
当社は、IoT機器を簡単に作製できるオープンプラットフォーム「トリリオンノード・エンジン」向けに、はんだ付け不要で容易に着脱できる2つのコネクター技術を評価しました。当社のワイヤー接続技術とゴムコネクター技術(以下、本技術)により、IoTシステムをはんだ付けの作業なしに組み立てることが可能です。当社は今後、本技術を搭載したデモシステムの開発を進め、デモ用モーターユニットなどへ活用していく予定です。
あらゆるモノがインターネットにつながるIoT社会の実現に向け、産業機器やインフラ、自動車など多種多様な用途においてIoT機器を簡単に試作できる開発プラットフォームが求められています。当社と国立大学法人東京大学(以下、東京大学)が現在評価を進めている「トリリオンノード・エンジン」は、試作のしやすさに強みがあり、現在システムの有効性を検証しています。
従来のIoTシステムでは、電子部品を接続するコネクターのサイズが大きいため、システムの小型化が困難でした。また、コネクターの実装にもはんだ付けが必要で、作業には工具とスキルが不可欠となること、時間がかかってしまうことなどに課題がありました。特に、モーターを駆動する場合では、電子部品基板とワイヤーハーネスを接続しますが、その接続部では、従来のコネクター端子台を使用すると高さが約8mmになる場合がありました。
今回当社が評価したコネクター技術は、Bare Wire Connection Mechanism (BWCM)と呼ばれる構造が特徴です。ワイヤーハーネスを保持してパッドに整列させるホルダーにはU字状の独自機構を採用し、ホルダーを押さえるカバーは、従来の板金に代わり、高強度な樹脂とゴム製のクッションを組み合わせた構造にしました。これらにより、はんだ付けの作業をせずに小型で着脱が容易なワイヤー接続部を実現しました。電子回路基板面上の高さは約2mmです。なお、BWCMでは、ワイヤーハーネスを3N以上の力で引っ張っても外れず、十分な強度を確保しています。
また、当社は、「トリリオンノード・エンジン」向けの「リーフ基板注1」同士を接続するゴムコネクターについても、リーフ基板の試作とIoT機器サンプルの評価を行いました。高温高湿試験など複数の環境試験を実施し、接続時における抵抗の安定性と信頼性を検証しており、実用に耐えうることを確認しています。
今回の技術では、当社の半導体パッケージとHDDにおける実装技術やシステムLSI設計における信号コネクト技術およびIoT機器設計技術、東京大学の電子機器研究や超低消費電力設計技術の知見が活かされています。
当社は本技術の詳細を、6月1日からオンラインで開催されている電子部品技術に関する国際学会「2021 IEEE 71st Electronic Components and Technology Conference(ECTC 2021)」で発表しました。
なお当社は、本技術の評価にあたり、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業の研究成果の一部を活用しています。
注1 リーフ基板:トリリオンノード・エンジンを構成する電子回路基板のこと。
ゴムコネクター技術を採用した典型的なIoTデバイスの一例。センサーリーフ基板(温度・湿度・照度・加速度)、マイコンリーフ基板、Bluetooth®無線通信リーフ基板、CR2032コイン電池搭載リーフ基板で構成される。一円玉と同程度のサイズを実現している。
*Bluetooth® は Bluetooth SIG Inc. の登録商標です。
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