2026年5月21日
東芝デバイス&ストレージ株式会社
当社は、次世代AIデータセンター向け電源システムを主用途とし、併せて再生可能エネルギー関連機器への適用を想定した1200V耐圧トレンチゲート型SiC MOSFET「TW007D120E」を開発し、テストサンプルの出荷を開始しました。
生成AIの急速な普及を背景に、データセンターでは消費電力の増大が喫緊の課題となっています。特に、高出力AIサーバーの普及や800V HVDC (High Voltage Direct Current) アーキテクチャーの採用拡大により、電源システムにはこれまで以上に高い電力変換効率と高電力密度化が求められています。TW007D120Eは、こうした次世代AIデータセンターの要求に応えるべく開発された製品であり、消費電力の低減と電源システムの小型・高効率化に貢献します。
TW007D120Eは、当社独自のトレンチゲート構造[注1]を採用することで、業界トップクラス[注2]の低い単位面積あたりのオン抵抗 (RDS(on) A) を実現しました。これにより、オン抵抗低減による導通損失の削減に加え、スイッチング損失の低減を両立しています。当社既存製品と比較して、RDS(on) Aを約58%削減[注3]し、導通損失とスイッチング損失の関係を示す性能指標ドレイン・ソース間オン抵抗×ゲート・ドレイン間電荷量 (RDS(on) ×Qgd)を約52%削減[注3]しました。
これにより、データセンター電源における高効率動作と発熱低減の実現に貢献し、電源システム全体の効率向上に寄与します。
また、本製品は上面放熱に対応したQDPAKパッケージを採用しています。高電力密度が要求される次世代AIデータセンターの電力変換で、パワーステージの高電力密度化実装と高い放熱性能を両立できる点が特長です。
当社は、2026年度中にTW007D120Eの量産出荷準備を整え、今後、さらなるラインアップ拡充と車載用途を含む展開や開発を進めていきます。本トレンチゲート型SiC MOSFETを通じて、データセンターをはじめとする各種産業用機器の電力効率向上とCO₂排出削減に貢献することで、脱炭素社会の実現を支えていきます。
なお、この成果は、NEDO (国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構) の補助事業 (JPNP21029) の成果を活用しています。
[注1] 半導体基板に微細な溝 (トレンチ) を形成し、その内部にゲート電極を埋め込む構造。
[注2] 2026年5月現在、当社調べ。
[注3] 当社第3世代SiC MOSFET (TW015Z120C) と今回開発した1200VのSiC MOSFETの比較。2026年5月現在、当社調べ。
(特に指定のない限り、Tvj=25°C)
| 品番 | TW007D120E | |||
|---|---|---|---|---|
| パッケージ | 名称 | QDPAK | ||
| 絶対最大定格 | ドレイン・ソース間電圧 VDSS (V) | 1200 | ||
| ドレイン電流 (DC) ID (A) | Tc=25°C | 172 | ||
| 電気的特性 | ドレイン・ソース間オン抵抗 RDS(on) (mΩ) | VGS=15V | Typ. | 7.0 |
| ゲートしきい値電圧 Vth (V) | VDS=10V | 3.0~5.0 | ||
| ゲート入力電荷量 Qg (nC) | VGS=15V | Typ. | 317 | |
| ゲート・ドレイン間電荷量 Qgd (nC) | VGS=15V | Typ. | 33 | |
| 入力容量 Ciss (pF) | VDS=800V | Typ. | 13972 | |
| 順方向電圧 (ダイオード) VSD (V) | VGS=0V | Typ. | 3.2 | |
注) 開発品はスペック、スケジュールが予告なく変更になることがあります。
測定条件: VGS=18V (TW015Z120C) 、VGS=15V (TW007D120E) 、Tvj=25°C (2026年5月現在、当社比)
当社のSiCパワーデバイスの詳細については、下記ページをご覧ください。
SiCパワーデバイス
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