第66回電気科学技術奨励賞の受賞について

2018年 11月15日

東芝デバイス&ストレージ株式会社

当社は、「産業、交通向けを主とした新規パワーデバイスの創出」において、公益財団法人電気科学技術奨励会から「第66回電気科学技術奨励賞」を受賞しました。贈呈式は、11月14日、学士会館にて執り行われました。

電気科学技術奨励賞は、1952年に設立された歴史ある賞で、電気科学技術分野に関する発明、研究・実用化、ソフトウェア開発、教育などで優れた業績を上げた者に与えられます。

今回の受賞対象である「産業、交通向けを主とした新規パワーデバイスの創出」では、高耐圧で低損失のIGBT・IEGT注1や、オン抵抗を大幅に低減したMOSFETを開発したことなどが、電気機器の省エネルギー化や環境に配慮した車載・産業機器の普及に貢献しているとして評価されました。これらのデバイスは、鉄道や送配電システムなど、社会インフラの分野から、家電・車載機器のモーター制御用など身近な分野に至るまで、現在でも幅広く使用されています。

 当社は今後も、多様で高付加価値のパワーデバイスの技術革新を推進し、環境負荷低減に貢献していきます。

注1 IEGT (Injection Enhanced Gate Transistor): 電子注入促進構造を導入し、低損失を実現したIGBT

受賞者

ディスクリート半導体事業部 SiC開発部 主幹 山口正一

※なお本賞の受賞者には、当社の元従業員である馬場嘉朗氏(審査時の役職:生産統括責任者)も含まれています。

受賞技術の概要

(1)高耐圧接合終端構造および大容量IGBT・IEGTの開発

従来構造よりも微細化や大口径化に適した高耐圧接合終端構造として、半絶縁性材料を用いたSIPOS RESURF構造を開発しました。同技術は、高耐圧・高信頼性を実現するIGBTの基幹技術となり、鉄道や送配電システムなど、長期信頼性が要求される分野を中心に、採用され続けています。

(2)高耐圧ICにおける完全誘電体分離および完全空乏化技術の開発

SOI構造で基板・素子間を、トレンチを使った誘電体で素子間を分離することにより、薄い活性層で高耐圧の横型パワーデバイスを実現しました。同技術を搭載したパワーICは、エアコンや空気清浄機のインバーター、家電機器のモーター制御用などに現在も広く使用され、省エネルギー化に貢献しています。

(3)トレンチゲートMOSFETおよび高信頼性ゲート膜の開発

従来主流だったプレーナー型のMOSFETと比較し、トレンチゲート型でオン抵抗の大幅な低減に成功しました。同技術は車載、産業機器のモーター駆動用電源などに利用されており、電気自動車(EV)やロボットなど、応用範囲の拡大が期待されています。

贈呈式の様子

贈呈式の様子
山口正一(左)と、馬場嘉朗氏(右)

当社のMOSFET/IGBT/IEGTについては下記ページをご覧ください。

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