2025年9月25日
東芝デバイス&ストレージ株式会社
当社は、データセンターや通信基地局などの産業機器用スイッチング電源向けに、当社最新世代プロセス[注1]「U-MOS11-H (ユー・モス・イレブン・エイチ)」を採用した、100V耐圧NチャネルパワーMOSFET「TPH2R70AR5」を製品化し、本日から出荷を開始します。
100V系U-MOS11-Hシリーズは、当社従来世代プロセスU-MOSX-Hシリーズ に対し、ドレイン・ソース間のオン抵抗 (RDS(ON)) ならびにゲート入力電荷量 (Qg) とそのトレードオフ (RDS(ON)×Qg) を改善し、導通時とスイッチング時の両方の電力損失を低減しています。
新製品のTPH2R70AR5は、U-MOSX-HシリーズのTPH3R10AQMに対し、RDS(ON)を約8%、Qgを約37%、RDS(ON)×Qgを約42%改善しています。
また、TPH2R70AR5はライフタイム制御技術[注2]の適用によりボディーダイオードを高速化することで、逆回復電荷量 (Qrr) およびスパイク電圧を低減しました。U-MOSX-HシリーズのTPH3R10AQMに対し、Qrrを約38%、RDS(ON)×Qrrを約43%改善しています。
これら業界トップクラス[注3]のRDS(ON)×Qg、RDS(ON)×Qrrトレードオフ特性[注4]により、低損失を実現し、電源の高効率化、高電力密度化に貢献します。
なお、パッケージには、業界での実装互換を重視したSOP Advance(N)を採用しました。
回路設計をサポートするツールとして、短時間で回路動作が検証できるG0モデルのSPICEモデルに加えて、過渡特性の精度を高めたG2モデルのSPICEモデルも提供します。
当社は今後も、電源の効率を高めることができる低損失のMOSFETのラインアップ拡充を推進し、機器の低消費電力化に貢献していきます。
[注1] 2025年9月時点、当社の低耐圧パワーMOSFET向けプロセスにおいて。当社調べ。
[注2] イオンビームを利用して半導体内部に意図的に欠陥を生成し、キャリアーライフタイムを短縮することで、デバイスのスイッチング速度を高速化します。これにより、ダイオードのリカバリー速度が向上し、ノイズが低減されます。
[注3] 2025年9月時点、産業機器向け100V耐圧NチャネルパワーMOSFETにおいて。当社調べ。
[注4] RDS(ON)×Qg:120mΩ・nC (typ)、RDS(ON)×Qrr:127mΩ・nC (typ)
(特に指定のない限り、Ta=25°C)
品番 | TPH2R70AR5 | |||
---|---|---|---|---|
絶対最大定格 | ドレイン・ソース間電圧 VDSS (V) | 100 | ||
ドレイン電流 (DC) ID (A) | Tc=25°C | 190 | ||
チャネル温度 Tch (°C) | 175 | |||
電気的特性 | ドレイン・ソース間オン抵抗 RDS(ON) (mΩ) | VGS=10V、ID=50A | Max | 2.7 |
VGS=8V、ID=50A | Max | 3.6 | ||
ゲート入力電荷量 Qg (nC) | VDD=50V、VGS=10V、ID=50A | Typ. | 52 | |
ゲートスイッチ電荷量 Qsw (nC) | Typ. | 17 | ||
出力電荷量 Qoss (nC) | VDD=50V、VGS=0V、f=1MHz | Typ. | 106 | |
入力容量 Ciss (pF) | VDS=50V、VGS=0V、f=1MHz | Typ. | 4105 | |
逆回復電荷量 Qrr (nC) | IDR=50A、VGS=0V、 -dIDR/dt=100A/μs |
Typ. | 55 | |
パッケージ | 名称 | SOP Advance(N) | ||
サイズ (mm) | Typ. | 5.15×6.1 | ||
在庫検索&Web少量購入 | ![]() |
新製品の詳細については下記ページをご覧ください。
TPH2R70AR5
当社のMOSFET製品については下記ページをご覧ください。
MOSFET
高精度SPICEモデル (G2モデル) の詳細については下記ページをご参照ください。
G2モデル
お客様からの製品に関するお問い合わせ先:
パワー&小信号営業推進部
Tel: 044-548-2216
* 社名・商品名・サービス名などは、それぞれ各社が商標として使用している場合があります。
* 本資料に掲載されている情報 (製品の価格/仕様、サービスの内容及びお問い合わせ先など) は、発表日現在の情報です。予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。