研究・技術開発分野

東芝デバイス&ストレージ株式会社は、産業・インフラ、車載、情報化社会向けに、半導体とストレージに関連する様々な研究・技術開発を進めています。主な関連技術を紹介します。

半導体関連技術

デバイス・プロセス

次世代パワー半導体開発

カーボンニュートラルやデジタル化社会の実現に貢献するキーデバイスとしてパワー半導体に対する期待が高まっています。パワー半導体は、モバイル機器から家庭用電化製品、自動車、データセンター、再生可能エネルギー発電など、様々なパワーエレクトロニクス応用において電力を効率よく変換・制御する役割を担っています。Si(シリコン)のパワーMOSFET(金属酸化膜半導体電界効果トランジスター)、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、ダイオードに加え、近年はSiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)をはじめとした化合物半導体を使った半導体デバイス開発が進んでおり、次世代・次々世代製品の性能・品質・生産性を向上させる新たな半導体デバイス構造や製造プロセス技術について、要素技術から量産応用まで幅広い研究開発を行っています。

SiCウェハー
SiCウェハー

製造・設計シミュレーション技術

パワー半導体など半導体製品の研究開発から量産の現場で活用されるシミュレーション技術として、TCAD(Technology CAD)やPCM(Process Compact Model)技術を開発しています。TCADには、半導体デバイスの製造工程を物理的に模擬するプロセスシミュレーション、電気特性を計算するデバイスシミュレーション、回路特性を計算する回路シミュレーションがあり、これらを活用して製品の特性改善や開発期間の短縮ができます。また、PCM技術は、統計解析やAI技術などデータサイエンスの手法により、プロセス情報からデバイス特性を数式モデル化する技術であり、PCMを活用して、製造ばらつきを考慮した設計や生産システムの最適制御が可能となり、半導体製品の歩留を向上・安定化させます。

電流電圧特性の実測値と計算値の例
電流電圧特性の実測値と計算値の例

設計・ソフトウェア

集積回路技術

車の電動化や産業向け・民生向け電子機器の高性能化に伴い、それらを支える電源向け電力変換器の変換効率向上や小型化が求められています。電力変換器の高効率化・小型化に向けて、パワー素子のスイッチング速度の向上、制御の高精度化が必要となり、また部品の小型化、部品点数削減も必要です。これらの要求に応えるパワーエレクトロニクス向けの高機能IC(ゲートドライバーIC、絶縁IC)や低電圧電源ICの開発と応用技術開発に取り組んでいます。

試作した高速ゲートドライバーIC
試作した高速ゲートドライバーIC

組込ソフトウェア・AI開発

組み込みソフトウェアとAI技術は、生活を豊かにする家電製品から、安全な移動を実現する車載システム、効率的な生産を支える産業機器に至るまで、多岐にわたる製品に活用されています。高性能でありながら省エネルギーを実現する組み込みソフトウェアや、迅速かつ正確な判断を可能にするAI技術を備えた製品を開発しています。また、製品の安全な使用にはセキュリティーが不可欠であり、セキュリティーソフトウェアを半導体に組み込み、堅牢で安全な製品を開発しています。さらに、高速なインターフェースを駆使したソフトウェアにより、データ転送と通信の速度を向上させ、製品間での高速な情報交換を実現しています。これらの技術を融合させ、最適なソフトウェアを開発しています。

ソフトウェア開発と評価キットの例
ソフトウェア開発と評価キットの例

パッケージ・テスト

組立・実装技術

カーボンニュートラルな社会の実現に向け、社会インフラ向けパワー半導体の電力変換効率の向上、通信機器やOA機器に搭載される小信号半導体の小型化・低消費電力化が求められています。半導体デバイスの性能を最大限に引き出すためには、後工程であるパッケージ組立技術開発が重要となってきます。パッケージ抵抗の低減やパッケージの小型化を実現するためのパッケージ構造設計、高放熱ダイマウント材や高耐圧の封止材等の特性の優れた新規材料を使用したプロセス開発などにも取り組んでいます。開発した製品は、鉄道車両用インバーターや産業用モーター駆動など、さまざまな応用分野で活用されています。

パワーデバイス用パッケージ
パワーデバイス用パッケージ

解析シミュレーション技術

半導体デバイスの小型化に伴い、顧客システムは部品実装密度が向上していますが、一方で熱やノイズの問題が顕在化しています。また車載・産業を中心に半導体には高い信頼性が求められています。これらを背景に、熱やノイズを抑え、信頼性を向上させるため、半導体と顧客システムを考慮した電気-熱-構造連成シミュレーション技術の開発を行っています。
開発したシミュレーション技術を半導体デバイスの開発へフィードバックするとともに、顧客側で事前検証可能な回路シミュレーションモデルの開発にも使われています。また当社の半導体デバイスを最大限に活用頂くため、シミュレーションで最適化した回路・レイアウト技術を盛り込んだWeb公開用のリファレンスデザインの開発も行っています。

熱シミュレーションの例
熱シミュレーションの例

ストレージ関連技術

HDD関連技術

装置インテグレーション技術

全世界で保存されるデータ量の飛躍的な増加により、データセンターで使用されるHDDには大容量や高性能、高信頼性の製品がますます求められています。大容量化を実現するために、記録媒体1枚あたりの記録密度向上にむけて、磁気記録を行っているヘッドや媒体、信号処理技術の開発設計を行っています。また高性能・高信頼性の製品を実現するために、データフォーマットの最適設計や顧客システムを想定した評価を行うことで、市場の要求に応えた製品技術設計に取り組んでいます。

大容量化技術
大容量化技術

ファームウェア(FW)技術

HDDファームウェアは、HDD基板に搭載されたSoC*上で動作し、アクチュエーター・モーター等を制御してリードライトを実現するソフトウェアです。データセンター顧客のさまざまなレイテンシーやスループットの要求に対応するため、ホストコマンドをリアルタイムに分析してHDD内のメディアアクセス順番を最適化し、アイドル時間を利用してHDDの信頼性を確保するためのバックグラウンド処理を実施しています。HDDのさらなる大容量化、高性能化を実現するため、これらの技術のさらなる進化に取り組んでいます。

*SoC:System on Chipの略。内部にCPUを搭載したLSI品。

ファームウェアの制御ブロック、および代表的な役割
ファームウェアの制御ブロック、および代表的な役割

メカ・サーボ技術

加速するデータ社会に追従するため、HDDには高速回転するディスク上のデータエリア(トラック)に、ナノスケールで磁気ヘッドを位置決めする様々な技術が詰め込まれています。目標とするトラックに磁気ヘッドを高精度位置決めするための電磁・圧電モーターを組み合わせた多段マイクロアクチュエーター機構とその位置決め制御技術、磁気ヘッドを高速移動させるシーク制御技術、ディスクの流体起因振動を抑制するヘリウム封止技術、データセンターにおけるシステムラックからの外部影響を遮断する振動制御技術、HDD筐体内部の限定された空間に多数枚ディスクを搭載する高密度積層技術など多岐にわたる技術の研究開発に取り組んでいます。

磁気ヘッドの高精度位置決め制御技術
磁気ヘッドの高精度位置決め制御技術
ディスクの高密度積層技術
ディスクの高密度積層技術

研究・技術開発コンテンツ

技術部門トップメッセージ
各技術部門の技師長からご挨拶です。
技術活動トピックス
当社の技術活動トピックスを紹介します。
テクニカルレビュー
先端技術への取り組みや研究開発成果を紹介します。
学会発表&表彰
当社の国際学会における発表、表彰実績を紹介します。

※社名・商品名・サービス名などは、それぞれ各社が商標として使用している場合があります。