抵抗内蔵型トランジスター(BRT)がオン、オフする電圧は?

オンする電圧は入力オン電圧 VI(ON)、オフする電圧は入力オフ電圧 VI(OFF)としてデータシートに定義しています。

  • 入力オン電圧 VI(ON):Ta=25℃で規定のコレクター電流 (例:IC=5mA) 以上を流すために必要な電圧
  • 入力オフ電圧 VI(OFF): Ta=25℃で規定のコレクター電流 (例:IC=0.1mA) 以下に抑えるために必要な電圧

NPNのBRTがオフ⇒オンに移行するときを考えます。
オフ時 内蔵トランジスターQは動作しておらず、端子Bに与えられた入力電圧 VIはR1とR2の分圧としてQのベース bに印加されます。外部の電圧を徐々に上げていきQのベース b・エミッター e間電圧 Vbeが閾値 (一般的に0.7V) を超えるとQはオンします。オン電圧の定義は5mA以上流すための入力電圧としていますが、考え方は同じです。従って、抵抗比率 (R1/R2) が小さいものほど低い入力オン電圧で閾値電圧に達することになります。但し、同じ抵抗比の場合は、R1の大きな製品ほどIBが小さくなります。例えば、コレクターに5mA流れるときの入力電圧をVI1とします。このとき内蔵トランジスターのベース電流ibとb-e間電圧Vbeは内蔵抵抗によらず一定のib1とVbe1になります。Vinはこれらの変数を使って以下のように表せます。
    Vin1 = R1 * Ib1 + ( 1 + R1 / R2 ) * Vbe
同じ抵抗比の場合、右辺の第一項 “ R* Ib “ のみが変わり、R1の大きな製品ほどVin1が大きくなることがわかります。 (図3参照)
入力オフ電圧についても同様に抵抗比が小さいものほど低くなります。但し、規定されている電流が0.1mAと低いことから製品バラツキなどの影響を受けやすく、入力オン電圧ほどの相関は見えません。

PNPでも符号が異なりますが、同様に考えることが可能です。
図2 IC – VI(ON) のグラフを見てわかるように、電流は急激に変化します。また、負の温度特性を持っています。十分な余裕をもった設計を行ってください。

図-1 BRT基本回路
図-1 BRT基本回路
図-2  I<sub>C</sub> – V<sub>I(ON)</sub>
図-2  IC – VI(ON)
図-3 R<sub>1</sub> R<sub>2</sub>のV<sub>I(ON)</sub>に対する影響
図-3 R1 R2のVI(ON)に対する影響