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オフの状態からBRTのB端子に電圧 VIを印加し飽和領域でオンさせる動作を考えます。
VIの電圧を徐々に上げていきます
① 内蔵トランジスターQ がオフの状態
QがオフしているときにVIの電圧を印加すると、内蔵抵抗R1とR2にのみ電流が流れます。
従って、Qのベース bにはR1とR2で分圧された電圧 Vb = R2 / ( R1 + R2 ) が加わります。
② Qがオン
R1とR2による分圧された電圧は図-2 IB - VBEカーブに示すように、0.5V程度になるとベース電流 Ibが流れ始めオンします。同時にIbのhFE倍のコレクター電流が流れます。この時点ではQは飽和領域には入っておらず活性領域での動作となるので、hFEは汎用のトランジスター(2SC2712など)と同様に120~700程度の値となります。
更にVIが増加するにつれて、Vbeが増加し図-3に示すように指数関数的にICが増加します。
ただし、実際はVIに比べて、ベース電圧 Vbはほとんど上昇しません。図に示すように、室温25℃で使用範囲でのVBEの変化は0.6V~1.0Vです。このため、簡易計算ではこのベース電圧は固定値として扱うことが多く、ここでも固定値 = 0.7Vとして扱います。
Ibは以下の式で表されます。
Ib = IB – IR2 = ( VI – Vbe ) / R1 – Vbe / R2
Ibの増加とともに、コレクター電流 ICも比例的に増加します。
図-1 基本回路のコレクターC ・エミッターE 間電圧をVCEとすると、下式となります。
VCE = VCC – RL * IC
電流の増加とともにVCEは減少し飽和領域に移行します。
③ Qが飽和領域へ移行
VCEが低下することにより、トランジスターQは飽和領域へ移行します。
(飽和領域の定義は明確ではありませんが、hFEが20以下を飽和領域としています。*)
Ibの増加により、ICが増加しRLによる電圧降下が大きくなり、GNDに近づきます。
図-4 IC – VCEカーブ上の② ⇒ ③への移動です。最終的にはVCE ≒ 0 まで到達します。
実際のVCE(sat)の電圧を図-5 VCE(sat) – ICカーブに示します。
この時のC・E間電圧をVCE(sat)とすると、
IC = ( VCC – VCE(sat) ) / RL = Const.
IBは、VIの増加に伴いどんどん大きくなっていますがICはほとんど増加しません。このため、hFEは低下していきます。
*コレクター電圧が低下し、B-C間電圧 VBCが反転する領域を飽和領域とする定義もあります。