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IGBTを破壊や劣化させることなく安全に使用できる電流、電圧の限界を安全動作領域(SOA:Safe Operating Area)と言います。実際の使用においては、安全動作領域内で使用すると共に温度に対してディレーティングすることも必要となります。安全動作領域は、順バイアス安全動作領域(FBSOA)と逆バイアス安全動作領域(RBSOA)があり、順バイアス安全動作領域はオン状態における電流ー電圧の使用可能領域であり、逆バイアス安全動作領域はターンオフ時のスイッチング動作における電流ー電圧の使用可能領域を表します。
図(a)に順バイアス安全動作領域の一例を示します。順バイアス安全動作領域は、①最大定格のコレクター電流で制限される領域 ②コレクター損失で制限される領域(熱制限領域)③二次降伏(S/B)領域 ④最大定格のコレクター・エミッター間電圧で制限される領域の4つの制限領域により構成されています。特に二次降伏領域は、各デバイスのデザインにより異なってきますので、設計の際は留意する必要があります。
図(b)は、逆バイアス安全動作領域の一例を示します。逆バイアス安全動作領域は、①最大定格のコレクター電流ICPにより制限される領域 ②素子固有の特性で制限される領域 ③最大定格のコレクター・エミッター間電圧VCESにより制限される領域 の3つの制限領域により構成されています。特にハードスイッチングに使用する場合、電流耐量がVCE反比例の関係にある②の領域と実応用の整合を図る必要があります。