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IGBTはバイポーラーモードで動作するパワートランジスターの一種で、MOSFETのドレイン側にP層が形成され、オン時はこのP層からのホール注入により高抵抗N-層(ドリフト層)の抵抗値が低下する伝導度変調を利用しています。
この伝導度変調により導通時のオン電圧が小さくなるという特長を有する反面、ドリフト層に蓄積された少数キャリアをターンオフ時に排出しなくてはなりません。ターンオフ時における少数キャリアの排出は、その初期過程は外部回路に対して行われますが、IGBTのコレクター・エミッター間電圧VCEが立ち上がった後(空乏層が拡がった後)は、内部の再結合電流として排出されます。これがテール電流と呼ばれ、大きなVCEが印加された状態でのコレクター電流でありスイッチング損失を大きくする要因のひとつになります。
IGBTは、このテール電流を減らし低スイッチング損失化を図るため、主として①少数キャリアのライフタイムを短くする ②コレクターからのホール注入量を抑制するなどの手法を用いていますが、いずれもオン電圧特性を悪化する方向に働きますので、用途に応じて両特性のバランスを最適化するように設計されています。