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SiC(シリコンカーバイド)は、Si(シリコン)とC(炭素)原子から構成され、各原子の周りを異なる4個の原子が最も密になるような正四面体で配置された最密充填構造を持つ化合物半導体材料です。
SiCはSiと比較して価電子帯(価電子により満たされた領域)と伝導帯(電子が存在できるが空の領域)の間の電子が存在しない禁制帯のエネルギー幅(バンドギャップ)が大きく原子間の化学結合が強固であるために、絶縁破壊電界強度が高くなります。Siと比較すると約10倍程度の絶縁破壊電界強度を持っており、高耐圧かつ通電時の電圧降下が低いパワーデバイスを実現することができ、同じ耐圧の場合は、Siと比較し単位面積あたりのオン抵抗を下げることが可能になります。
一般的にSi MOSFETは1000V程度までしか製品化されていないのに対して、SiC MOSFETは、高耐圧でもオン抵抗を抑えることができるため3300V程度まで製品化されています。高耐圧製品でも電子のみで動作するユニポーラーデバイスのMOSFETを実現することができ、テール電流が発生しないため、バイポーラーデバイスに対してターンオフ損失が小さくなります。そのため、SiC MOSFETは、SiのIGBTでは困難であった高周波領域での動作が可能であり、トランスなどの受動部品の小型化にも貢献するという大きなメリットがあり、小型化や低損失化が要求される電力変換用途に適しています。
このように、SiC製品は、一般的に使用されているSi製品に比べて高耐圧領域で低オン抵抗化や高速スイッチングによる電力損失の低減が可能であり、高温での動作も可能なため、成長を期待されるパワーデバイスの中でも、拡大が期待されています。
例えば、図1に示すように、交通車両・PVインバーター・EV給電設備に広く使用されています。
以下の資料にも関連する説明がありますので、ご参照ください。