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絶対最大定格
絶対最大定格の定義
ESD保護用ダイオードに印加可能な電流、電圧、電力損失などの最大許容値は最大定格値として定められています。回路を設計する上で最大定格をよく認識することは、ESD保護用ダイオードを有効に働かせる上からも、目標とする稼働時間に十分高い信頼度で動作させる上からも、非常に大切なことです。最大定格値は、ESD保護用ダイオードの寿命と信頼度を保証するために超えてはならない最大値で、絶対最大定格の考え方を採用しています。絶対最大定格とは、瞬時といえども動作中に定格値を超えてはならないとするものです。定格を超えて使用した場合、特性は回復しない場合もあります。回路設計においては供給電圧の変動、電気部品の特性のばらつき、回路調整時の最大定格オーバー、周囲温度の変化、入力信号の変動などに注意し、定格の1つでも超えることは避けなければなりません。 定格値として定められるべき主な項目は、ESD保護用ダイオード の静電気耐量、ピークパルス電力、接合温度、保存温度などです。これらの特性は相互に密接な関係があるので、個々別々に考えることができず、また外部回路条件によっても異なります。 また、一般的に絶対最大定格は、周囲温度 Ta = 25 °C を基準に規定されますが、特定の温度で定格が規定される場合もあります。
静電気耐量 (IEC61000-4-2) (接触放電) VESD
直接接触により放電する直接放電による静電気耐量を表します。国際電気標準会議 (The International ElectrotechnicalCommission:IEC) が定めたIEC61000-4-2 に定められた試験方法と放電波形に従います。記載された値は試験波形の最大値 (100%) の値になります。
静電気耐量 (IEC61000-4-2) (気中放電) VESD
非試験機器と放電端子の間に空気の層を持つ気中放電による静電気耐量を表します。試験方法・試験波形はIEC61000-4-2 準拠します。
ピークパルス電力 (tp = 8/20 μs) PPK
ESD保護用ダイオードが損傷を受けずに耐えうる最大のサージ電力を表します。テスト波形として図6.1に示すピークまでの立ち上がりが8μs、ピークに対し1/2 になる時間が20 μs の波形を使用しています。
ピークパルス電流 (tp = 8/20 μs) IPP
ESD保護用ダイオードが損傷を受けずに耐えうる最大のサージ電流を表します。テスト波形として図6-1 に示す波形を使用しています。
(IEC61000-4-5準拠)
接合温度 Tj
ESD保護用ダイオードが特性劣化や破壊することがなく使用できる接合温度の最大値です。
保存温度 Tstg
ESD保護用ダイオードに電圧を印加しない状態で、保存または輸送できる周囲温度範囲です。