7 TVSダイオード (ESD保護用ダイオード)の電気的特性について

図7.1 ESD保護用ダイオードの電圧・電流特性
図7.1 ESD保護用ダイオードの電圧・電流特性

電気的特性

ピーク逆動作電圧 VRWM
ピーク逆動作電圧以下の電圧範囲では、ESD保護用ダイオードが非常に高いインピーダンス素子 (この電圧を印加しても規定のリーク電流以下しか流れません) として働きます。保護するラインの最大電圧に対する目安として使用されます。

端子間容量 Ct
規定の逆電圧条件下で、規定の周波数の小信号を印加したときの端子間の等価容量です。端子間容量は内蔵デバイスのジャンクション容量とパッケージの持つ寄生容量の合計です。ジャンクション容量は逆電圧に対して負の電圧依存性があります。

ダイナミック抵抗 RDYN
ダイナミック抵抗はESD保護用ダイオードに逆電圧を印加し、図に示すようにブレークダウン後の規定の大電流2 点での傾き (抵抗値) を表します。後述のクランプ電圧とともに、保護性能の指標となります。

逆方向降伏電圧 VBR
規定条件下で規定の電流 (デバイスにより電流値は異なりますが1mA が標準) を流す電圧となります。この項目は従来のツェナーダイオードからの流れをくむ項目です。この電圧でESD保護用ダイオードはオンと定義されます。

逆電流 IR
指定された逆電圧での逆方向漏れ電流です。 ESD保護用ダイオードでは指定電圧としてピーク逆動作電圧 (VRWM) を指定します。

クランプ電圧 VC
特定のピークパルス電流を流したときの最大電圧になります。通常、複数のピークパルス電流値で測定しています。最大定格で説明していますが、ピークパルス電流は8/20μs の波形 (図 6.1) に従います。ダイナミック抵抗とともにESD保護用ダイオードの保護性能を表す指標となります。

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