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ツェナーダイオードの温度係数は5 V以上が正特性で温度が上昇するとツェナー電圧が増加します。5 V以下では負特性で温度が上昇するとツェナー電圧が減少します。
ツェナーダイオードのツェナー電圧の温度係数は以下の図のような特性となります。
温度係数は5 V程度を境に、これより高ければ正特性で、温度が上昇するとツェナー電圧が増加します。
これより低ければ負特性で、温度が上昇するとツェナー電圧が減少します。
ツェナーダイオードはジャンクションに対し逆方向の電圧を印加しブレークダウン領域(降伏領域)で使用します。このブレークダウン(降伏)はp型半導体とn型半導体の不純物濃度(ドーピング濃度)により、ツェナー降伏とアバランシェ降伏の2種類の降伏が存在します。
ツェナー降伏:不純物濃度が濃く空乏層幅が狭い場合に、逆バイアス印加時に空乏層をトンネル効果により電子が突き抜け降伏が生じることを指します。
アバランシェ降伏:空乏層を通る電子は逆バイアスによる電界を受け加速します。電界が大きいとき加速した自由電子が原子に衝突すると電子正孔対を生み出すことがあります。この飛び出した電子が他の原子に衝突しさらに電子正孔対を生み出し雪崩のように電子正孔対を生み出し降伏が生じる現象を指します。
実際のツェナーダイオードでは厳密にこの2つの降伏がわかれるわけではなく、6 V程度を境にこれ以下ではツェナー降伏が支配的、これ以上ではアバランシェ降伏が支配的になります。
半導体は高温になるほど禁制帯幅Egが狭まり(VFが低くなり)ます。空乏層幅はこのVFと密接な関係があり、温度が高くなると狭まることになります。このため、高温になるほど低い電圧でツェナー降伏するので温度に対して負の依存性を持ちます。
物質全般に言えることですが、温度が高くなると結晶の格子振動が激しくなります。このため電子や正孔は移動しにくくなります(移動度が小さくなります)。アバランシェ降伏は電界により加速した電子が結晶に衝突することで電子・正孔対を生み出すものです。従って、温度が高くなると高い電圧でアバランシェ降伏するので、温度に対し正の依存性を持ちます。
ツェナー電圧に対する温度係数を図に示します。この製品の場合、5 V~6 Vの間で温度係数は負から正に代わっていることが分かります。ただし、プロセスなどの条件によりこの変化点は変わります。
以下のAPNにツェナー電圧の温特に関する説明があります。
製品ラインアップについては、以下のページ、ドキュメントをご参照ください。