ダイオードの並列使用は推奨しません。同一品名のダイオードでも若干順方向電圧のバラツキがあり、並列接続の場合、どちらかのダイオードに電流集中して劣化・破壊する可能性があります。
VF特性はダイオードごとにわずかに異なります。 同じ品番のダイオードでも完全には一致しません。
ダイオードを並列に接続するとVFの低い方に多くの電流が流れ、劣化・破壊する可能性があります。
電流定格が設計上の問題である場合、複数のダイオードを並列に接続する代わりに、より高い電流定格のダイオードを使用してください。
I1 = I2
2つのダイオードに均等に電流が流れることを期待できます。
I1 < I2
VFの低い側のダイオードに電流が多く流れます。このため、ジャンクション温度も低い側が高くなり、更にVFの低下を招きます。このことで更に電流が多く流れます。
例えば、表-1の特性を持つダイオードの場合、最小値の記載はありませんが100 mA流すときの順電圧は、標準値で0.92 Vですが、最大値で1.20 Vのバラツキがあります。少し乱暴ですが、標準値と標準値のグラフを最大値に合わせてシフトさせたIF-VFのイメージグラフを図-3に示します。
標準値と最大値のVFを持つ2つのダイオードを未対策回路のように並列に接続しVI = 0.8 Vを印加した場合、標準値の製品は22 mA、最大値の製品は400 μAが流れることがグラフ(IF-VFカーブ 製品ばらつき)から分かります。何の対策もせず並列に接続した場合はVFの低いダイオードに多くの電流が流れることになります。また、電流が多く流れることでVFの低いダイオードはVFの高いダイオードに比べてより多くの電力を消費し、ジャンクション温度が上昇します。
ダイオードには図-4(IF-VFカーブ 温度特性例)に示すように温度特性があります。一般的に高温になるほどVFは下がります。この特性によりVFの低いダイオードにはより多くの電流が流れる正帰還がかかり熱暴走することがあります。このことにより最悪の場合、ジャンクション温度を超えることになり破壊にいたる可能性があります。
従って、大きな電流定格のダイオードをご使用ください。どうしても並列接続をしなければならない場合、図-5に示す並列接続回路のようにおのおののダイオードに直列に電流を制限する抵抗R1・R2を挿入してご使用いただくことで対応可能な場合があります。この場合も、バラツキを考慮し適切な抵抗を選択ください。抵抗値が大きいほどダイオードのバラツキを吸収することが可能です。
製品ラインアップについては、以下のページ、ドキュメントをご参照ください。