サージとは何ですか?

サージは電子機器などを損傷する電圧の急激な上昇を指します。

図-1 各種サージ
図-1 各種サージ

一般的にESDとその他のサージに分けられることが多く、前者に比べ後者は雷・スイッチのオン/オフ・停電などを要因とし比較的長期間(~ms)でエネルギーが大きいことが特徴となります。これ以外にも伝送特性によるトランジェントなどがありますが、ここでは省略します。その他のサージは図-1に示すように、直撃雷サージ・誘導雷サージ・開閉サージなどがあります。直撃雷サージを受けることはまれですが、他のサージに比較してエネルギーが大きく、電子機器で対策しても破壊を免れることは困難です。

  • 直撃雷サージ
    名前のとおりで直接建物などに落雷し、対地への経路の一つとして電子機器を経由するものです。この落雷による電流は数十kA~数百kAと大きく、経由した電子機器は破壊されてしまいます。建物などでの対策が重要となります。
図-1 電磁誘導によるサージ
図-1 電磁誘導によるサージ
  • 誘導雷サージ
    電磁誘導によるものと静電誘導によるものがあります。

  • 電磁誘導による誘導雷サージ
    落雷すると雷雲と大地間に大電流が流れます。ケーブルの近くに落雷した場合、この電流により電磁界が発生し、電磁誘導によりケーブルに異常電圧が発生しサージ電圧がケーブルを経由して伝達されることがあります。この異常電圧を電磁誘導による誘電雷サージと呼びます。
図-2 静電誘導によるサージ
図-2 静電誘導によるサージ
  • 静電誘導による誘導雷サージ
    雷雲などの帯電した雲と逆の極性の電荷がケーブルに帯電します。落雷や雲間放電により雷雲の電荷が減少し、これによりケーブルに残された電荷がケーブルを伝って放電されサージとなることがあります。このサージを静電誘導による誘導雷サージと呼びます。

これ以外にも落雷により大地の電位が上昇、上昇した大地の近くにある設備と、離れたところにある設備がケーブルにより接続されている場合サージ電流が流れることがあります。このように直雷以外にも落雷によるサージがあり対策が必要です。

  • 開閉サージ
    電源スイッチなどにより電源ラインなどを開閉するときに生じるサージを開閉サージと呼びます。開閉サージには電源ラインを遮断するときに生じる電圧サージ (遮断サージ) と投入するときの電流サージ (投入サージ) があります。ここでは電力系統などの説明を省き、主に電子回路などで生じる現象について説明します。
    遮断サージ:
    電流が遮断された場合、電源に流れていた電流が急激に変化します。このとき電源ラインのインダクタンスにより、 e = - L * di / dt の電圧が発生します。電源ラインが長かったり、誘導負荷の場合、この電圧が大きくなりサージ電圧として電子機器などに影響を与えます。
    投入サージ:
    電源投入時に、電源ラインに接続された平滑コンデンサーや回路の寄生容量を充電するためラッシュ電流が流れます。この電流により電源ラインの電圧が下がることがあります。ラッシュ電流を避けるためには、電流を制限したりオン時の立ち上がりを緩やかにする必要があります。当社の電源用ロードスイッチにはラッシュ電流を抑制する機能を持つものがあります。

これらのサージは対策を施していない場合、電子機器を破壊、または劣化させます。これらサージはESDよりも大きな電圧・電流となることがあり、ESD対策された機器でも問題が発生することがあります。誘導雷サージは電源ラインやEthernetなど長い配線が接続されている場合、開閉サージはPLCや直流送電などの長い配線、モーターやリレーなどの誘導負荷を接続している場合などで発生することがあります。
当社ではこれらの対策用のデバイスとしてIEC61000-4-5に準拠したデバイスを提供しています。

関連リンク

製品ラインアップについては、以下のページ、ドキュメントをご参照ください。