抵抗内蔵型トランジスター(BRT)とは?

抵抗内蔵型トランジスター (Bias Resistor Built-in Transistor :BRT、デジトラ、デジタルトランジスターとも呼ばれます) はスイッチで使用することを想定した素子で、バイポーラートランジスターのベース、ベース・エミッター間に抵抗 (R1とR2) を付加したトランジスターです。バイアス用抵抗を内蔵することにより、基板上の回路構成を簡素にすることが可能です。

通常のバイポーラートランジスターは、アンプやバッファ、またスイッチとして使用することができます。アンプやバッファは図-2の出力特性曲線の線形部分である活性領域で使用されます。これに対し、BRTが主に使用されるスイッチではこの曲線の両側(飽和領域と遮断領域)で動作させます。飽和領域はコレクター・エミッター間の電圧降下VCEが最小となり、最大の電流が流れます。遮断領域ではトランジスターはオフし、微小なコレクター・エミッター間遮断電流 ICEOのみが流れます。
BRTは内蔵のバイアス抵抗により、オン時は飽和領域、オフ時は遮断領域で動作します。
BRTは図-1に示す構成となっており、電流駆動であるバイポーラートランジスターを電圧で駆動するためにR1を入れています。R2はオフ時はプルダウンとして働きベース電圧をGNDレベルにしています。
R2が無い場合、オフ時に入力から入ってくるリーク電流やコレクター遮断電流ICBOにより、ベースに電荷が蓄積し誤動作することがあります。このようなリーク電流をGNDに流すことにより誤動作を防止します。

図-1 BRT基本回路
図-1 BRT基本回路
図-2 出力特性曲線
図-2 出力特性曲線