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アクティブミラークランプ (AMC) は、セルフターンオンによるパワーデバイスの誤動作を防止あるいは低減する機能です。
モータードライブや太陽光発電の市場拡大に伴い、高電圧・大電流を制御するインバーター回路も需要の拡大が期待されています。インバーター回路はIGBTやSiCパワーMOSFET等のパワーデバイスを上下に直列接続するハーフブリッジ回路で構成されますが、SiCパワーMOSFETの拡大やパワーデバイスの低耐圧化が可能なマルチレベルインバーター化によって高周波数駆動の要求も増えています。
ハーフブリッジを高速スイッチングする際に問題になるのが、ミラー容量によって引き起こされるゲートの誤点弧 (セルフターンオン) です。セルフターンオンの発生メカニズムは東芝MOSFETのアプリケーションノート 「MOSFET セルフターンオン現象について」 に詳細がありますのでここでは省きますが、ハーフブリッジ回路でこのゲートの誤点弧が発生すると、瞬間的な上下アーム短絡によりスイッチング損失が増大し、素子の熱破壊の要因にもなります。
セルフターンオン対策としては、
① パワーデバイスのゲート・ソース間またはゲート・エミッター間に容量を追加する方法
② アクティブミラークランプ回路を使用する方法
③ マイナスバイアス絶縁電源を使用してオフ期間中のゲート電圧をマイナスまで引き、ゲートしきい値電圧 (Vth) を超えないようにする方法
などがあります。それぞれの方法には一長一短があり、①の容量追加はハーフブリッジのスイッチングスピードを上げられず、③のゲートマイナスバイアス絶縁電源追加はマイナス電位の絶縁電源が新たに必要となり、特にSiCパワーMOSFETの特性によってはゲート電圧を強くマイナスに引けないケースもあります。
ここでは、高速スイッチングの維持とパワーデバイスのゲート絶縁電源簡素化の観点で、②のアクティブミラークランプについて説明します。
アクティブミラークランプは、図1に示すようにSiCパワーMOSFETやIGBTなどのパワーデバイスのゲート・ソース間あるいはゲート・エミッター間にnチャネルMOSFETを追加して、ゲートオフ期間中にゲート・ソース間あるいはゲート・エミッター間をショートさせる機能です。追加したnチャネルMOSFETは、ミラー容量を通過した電流がパワーデバイスのゲート抵抗に流れることを防止してゲート電圧の上昇を抑制し、セルフターンオンを防ぎます。
当社はアクティブミラークランプとともに短絡保護機能を内蔵したスマート・ゲートドライバーカプラーTLP5222、TLP5212、TLP5214Aとシングルゲートドライバーカプラーにアクティブミラークランプを内蔵した製品TLP5814Hを提供しています。
ここでは、TLP5814Hを例にして、内蔵されたアクティブミラークランプについて説明します。
図2にTLP5814Hを用いた回路を示します。
TLP5814Hに内蔵されたアクティブミラークランプは、
①自身のゲート出力電圧 (VO端子電圧) がローレベルである
②パワーデバイスのゲート電圧 (VCLAMP) が2.5Vを下回る
という2条件がそろった時に動作し、パワーデバイスのゲート・ソースあるいはゲート・エミッター間をショートします。図2に示す内蔵AMC用MOSFETのオン抵抗が低いほど、アクティブミラークランプの効果は高くなります。TLP5814Hの場合、ゲートシンク用ピーク電流6.8AのnチャネルMOSFETと同等サイズのnチャネルMOSFETをAMC用として採用しており、VCLAMP =2.5Vの時のオン抵抗は0.69Ω (Typ.) です。
TLP5814Hはゲート電圧の変化に敏感なSiCパワーMOSFETのゲートドライブに適しています。また、業界標準の8ピンパッケージであるSO8Lを採用しているため取り扱いしやすく、特に、マルチレベルインバーター化によってパワーデバイスとともに使用数が倍増するゲート絶縁電源でマイナスバイアス電源を用意できない場合に高い効果が期待できます。
なおマルチレベルインバーターのゲートプラスバイアス絶縁電源については東芝MOSFETのリファレンスデザイン 「MOSFET応用3相マルチレベルインバーター」 を参照して下さい。
以下の資料にも関連する説明がありますので、ご参照ください。