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構造と特長

図1に示す通り、当社の新世代低耐圧MOSFET(12V-300V)はゲート電極直下にトレンチフィールドプレート(FP)を有した構造を採用し、ドリフト層を高濃度化することによって低オン抵抗化を実現しています。図2に当社が開発したFP-MOSFET向けSPICEモデルの構成図を示します。核となるMOSFETモデルとして、収束性や計算速度に優れており、各EDAベンダーの回路シミュレーターのほとんどに実装されているBSIM3v3モデルを採用しています。また図1に示すフィールドプレートは、電界集中を緩和する一方で追加の容量成分を生じます。このフィールドプレート構造による容量特性の非線形性を表現するため、各端子間に任意の関数を用いた非線形容量Cgs/Cgd/Cdsをそれぞれ付加しています。

図1:FP-MOSFETの素子構造(概略図)
図1:FP-MOSFETの素子構造(概略図)
図2:FP-MOSFET向けSPICEモデル(概略図)
図2:FP-MOSFET向けSPICEモデル(概略図)

MOSFET単体のフィッティング精度

図3に当社製FP-MOSFET製品であるTPH1R306PLのID-VGS特性とID-VDS特性の実測とSPICEモデルを用いたシミュレーションとの比較による再現レベル(フィッティング精度、と表現)を示します。当社の高精度SPICEモデル(G2モデル)は、パワーMOSFETで一般的にみられるID-VGS特性の高電流領域における飽和特性までの合わせこみは実施せず、主に閾値電圧(Vth)付近の再現精度を重視し、またID-VDS特性ではドレイン・ソース間オン抵抗RDS(ON)やドレイン電流IDの傾きの再現性に注力していることが図3(a),(b)より分かります。

図3:TPH1R306PLの実測値(シンボル)と高精度SPICEモデル(G2モデル)によるシミュレーション値(実線)の比較 (a)V<sub>DS</sub>=10V時におけるI<sub>D</sub>-V<sub>GS</sub>特性, (b)I<sub>D</sub>-V<sub>DS</sub>特性
図3:TPH1R306PLの実測値(シンボル)と高精度SPICEモデル(G2モデル)によるシミュレーション値(実線)の比較 (a)VDS=10V時におけるID-VGS特性, (b)ID-VDS特性

図4に入力容量Cissと出力容量Coss、帰還容量CrssのVDS依存性について、実測とシミュレーションの比較を示します。FP-MOSFET構造のこれら容量はゲート近傍における電界集中を緩和する目的で採用しているトレンチフィールドプレート構造の影響により追加の容量成分を生じることで非線形性が強くなります。当社の高精度SPICEモデル(G2モデル)は、複数の任意関数を組み合わせた非線形容量をドレイン・ゲート・ソースの各端子間にCgs/Cgd/Cdsとして付加することによって容量特性の非線形性を高精度に表現できています。

図4:TPH1R306PLのV<sub>GS</sub>=0V 時におけるC<sub>iss</sub>/C<sub>oss</sub>/C<sub>rss</sub>-V<sub>DS</sub>実測値(シンボル)と高精度SPICEモデル(G2モデル)によるシミュレーション値(実線)の比較
図4:TPH1R306PLのVGS=0V 時におけるCiss/Coss/Crss-VDS実測値(シンボル)と高精度SPICEモデル(G2モデル)によるシミュレーション値(実線)の比較

過渡特性(抵抗負荷スイッチング動作)フィッティング精度

図5にTPH1R306PLを用いた抵抗負荷スイッチング回路図を示します。また、抵抗負荷スイッチング回路を用いたターンオン特性とターンオフ特性について、実測とシミュレーションとの比較をそれぞれ図6(a),(b)に示します。結果として、ターンオン特性とターンオフ特性ともにシミュレーション波形が実測波形を高精度に再現できていることが分かります。当社が開発した高精度SPICEモデル(G2モデル)はスイッチング動作などの動特性についても十分に検証可能なSPICEモデルです。

図5:抵抗負荷スイッチング特性回路図
図5:抵抗負荷スイッチング特性回路図
図6:抵抗負荷スイッチング回路におけるスイッチング波形の実測値(破線)とシミュレーション値(実線)の比較  (a)ターンオン波形、(b)ターンオフ波形
図6:抵抗負荷スイッチング回路におけるスイッチング波形の実測値(破線)とシミュレーション値(実線)の比較 (a)ターンオン波形、(b)ターンオフ波形

高精度SPICEモデル(G2モデル)を使ったシステム評価(300W絶縁型DC-DCコンバーター)

当社リファレンスデザインセンターで紹介されている300W絶縁型DC-DCコンバーターの実機と高精度SPICEモデル(G2モデル)を適用したシミュレーション回路を用いて、DC-DCコンバーター全体の電力変換効率や使用したMOSFETのスイッチング波形の実測とシミュレーションの比較を行います。図7は300W絶縁型DC-DCコンバーター実機の外観とシミュレーション回路の概略図です。

図7:300W絶縁型DC-DCコンバーターの実機と実機動作を再現したシミュレーション回路
図7:300W絶縁型DC-DCコンバーターの実機と実機動作を再現したシミュレーション回路

図8はDC-DCコンバーター回路の一次側MOSFETにTPN1200APL、二次側MOSFETにTPH2R408QM を実装した場合の実機とシミュレーション回路の電力変換効率の負荷電流依存特性で、実機とシミュレーションの効率差は2%以下になっていることがわかります。この差分はコントローラーの損失や回路を構成している各部品の発熱による特性変化など、本シミュレーション回路において考慮されていない損失が主な要因です。

図9は300W 絶縁型DC-DCコンバーターを構成する主要な部品別に損失をシミュレーションした結果です。出力電流25[A]時の一次側と二次側のMOSFET損失の合計は約43%となっており(表中のPre_SideとSec_Sideの合計)、この割合は出力電流が減少するに従い大きくなります。

図8:回路効率のシミュレーション結果と実測結果の比較
図8:回路効率のシミュレーション結果と実測結果の比較
図9:シミュレーション回路を使った300W絶縁型DC-DCコンバータ実装部品別損失分析結果
図9:シミュレーション回路を使った300W絶縁型DC-DCコンバータ実装部品別損失分析結果

この結果から、DC-DCコンバーターの電力変換効率を向上させるためにはMOSFETの損失を低減させることが非常に重要であると言えます。MOSFETの損失低減を検討する際には一次側または二次側に使用するMOSFETのスイッチング時における損失分析が必要となり、SPICEモデルのスイッチング波形の再現性が重要になります。図10はDC-DCコンバーター回路の二次側同期整流回路に使用したTPH2R408QMのスイッチング波形の比較ですが、容量特性の非線形性を高精度に表現したG2モデルを使用することで実測に近いスイッチング波形がシミュレーションでも得られており、MOSFETの損失分析を定量的に実施できることが期待できます。

(注)高精度シミュレーション回路は損失分析用に独自開発しています。

図10:DC-DCコンバーター回路二次側同期整流部MOSFETのドレイン・ソース間電圧(VDS)波形
図10:DC-DCコンバーター回路二次側同期整流部MOSFETのドレイン・ソース間電圧(VDS)波形

当社高精度SPICEモデル(G2モデル)は実機に近いスイッチング波形をシミュレーションで再現できます。実機製造前にシミュレーションによって課題を明らかにすることでやり直し作業が減り開発TATの改善につながります。ぜひ当社高精度SPICEモデル(G2モデル)をご活用ください。