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パワーバックドアやパワースライドドア、パワーシートなど、大電流で駆動するブラシ付きモーター向けゲートドライバーIC
近年の自動車は可動部の電動化が進み、1台あたりに多数のモーターが搭載されています。特にボディー系アプリケーションのモーター使用数の増加が顕著となっています。これに伴い、モーターを駆動するドライバーの数も増加しており、小型化が求められています。加えてワイヤハーネスなどの配線重量も増加しており、自動車の軽量化のため、配線を削減することが求められています。当社はこれらの要求に応えるため、小型パッケージと、シリアルバスSPI[注1]を採用したゲートドライバーIC TB9104FTGを試作し、基本的動作を確認しました。 (図1)
TB9104FTGは、5.0mm×5.0mm (typ.) の小型VQFN32[注2]パッケージを採用しています。パッケージの裏面には、放熱パッドが設けてあり、高い放熱性を実現しています。このパッケージの採用により、外付けMOSFET[注3]と組み合わせて、コンパクトなドライバーを実現できます。
TB9104FTGは、マイクロコントローラーとのインターフェースにシリアルバスSPIを採用しており、多数の設定項目とステータス情報を提供します。SPIに複数のゲートドライバーを接続することで、配線を削減でき、ワイヤハーネス重量の低減やシステム設計の簡素化に貢献します。
TB9104FTGでは、モーターへの回転指示は、専用端子だけでなく、SPIからも可能です。加えてPWM[注4]駆動回路を内蔵しています。あらかじめPWM周期などを設定しておくことで、マイクロコントローラーから一度回転指示を行うだけで、継続してモーターの断続回転が実現できます。このことは、マイクロコントローラーの負荷軽減や、SPIバスの混雑緩和に貢献します。
TB9104FTGは大電流に関わるデバイスとして各種の異常検出機能と停止機能を備えています。異常電圧検出機能として、VCC、VDD電圧、バッテリー電圧、チャージポンプ電圧、逆接保護回路用電源電圧、ドレイン・ソース間電圧を監視する機能があります。他に、異常高温検出機能やSPI異常検出機能があります。これらの機能によって異常が検出されると、あらかじめ設定した停止動作が行われ、安全に寄与します。
TB9104FTGは、マイクロコントローラーが外付けMOSFETを流れる電流を監視するために設置した電流検出抵抗に発生する微小電圧を高精度に増幅するアンプを備えています。
TB9104FTGは小型化を実現するためにQFNパッケージを採用しています。
裏面に放熱パッドがあり、放熱性に優れています。
TB9103FTGに次ぐコンパクトボディー (図2) を、外付けMOSFETと組み合わせることで、基板面積を削減でき、お客様はドライバーをコンパクトに成立させることが可能です。
TB9104FTGは設定をSPIから行います。モーターの回転指示については、IN11、IN12、IN21、IN22端子を使用する方法と、SPIのコマンドから指示する方法の2通りがあります。
IN11、IN12、IN21、IN22端子を使用すれば、マイクロコントローラーから自由度の高い指示ができます。他方、SPIから指示する方法では、複数のデバイスをSPIで共有することで配線の削減が期待できます。 (図3) この図の例では、3つのモーターを1つのマイクロコントローラーからSPIで制御しています。IN11、IN12、IN21、IN22端子の配線は必要ありません。お客様は、SPIバスの採用で配線重量の削減、基板面積の削減が可能となり、車両重量の削減に寄与します。
TB9104FTGはSPIからモーターへ回転の指示ができます。しかし、Hブリッジ時にモーターの回転数を抑えるために時間を置いて回転とブレーキの指示を交互に出すPWM駆動はSPIからでは頻繁なコマンド発行となるほか、高速な切り替えはSPIの速度制約を受けます。そこでTB9104FTGは、PWM機能を内蔵しました。あらかじめPWMの周期とディーティ比を設定しておき、モーターへ回転の指示を一度行うだけで、回転とブレーキ動作が設定した周期とディーティ比で切り替わります。この機能により、SPIに複数のドライバーが接続されていても、マイクロコントローラーの負荷が高くなることや、SPIバスが混雑することがなくなります (図4)。このPWM機能は、IN11、IN12端子を使用する場合でも利用できます。
お客様は、マイクロコントローラーの負荷軽減によるタスクの追加や、SPIバスに接続するデバイスの増設を検討することができます。
電源 (VB、VCC、VDD) は12Vバッテリーシステムの使用を想定しています。スペックが保証されるチップ温度は-40°C~150°CでありこれはAEC-Q100の規定においてGrade1に相当します。
TB9104FTGは2倍昇圧チャージポンプを搭載しており外付けするパワーMOSFETのうち、ハイサイドのNch-MOSFETを駆動できます。主要スペックを以下に示します (表1、表2)。
| 項目 | 記号 | 最小 | 標準 | 最大 | 単位 |
|---|---|---|---|---|---|
| 電源電圧1 | VvbRNG | 5.7 | 12 | 18 | V |
| 電源電圧2 | VvccRNG | 4.5 | 5.0 | 5.5 | V |
| 電源電圧3 | VvddRNG | 4.5 | 5.0 | 5.5 | V |
| 接合温度 | TjRNG | -40 | - | 150 | °C |
特に指定がない場合、VB=5.7~18V、VDD=VCC=4.5~5.5V(VB≧VDD)、Ta=-40~125°Cとします。
電圧はGNDを基準とし、電流は端子に流れ込む方向を正とします。
| 項目 | 記号 | 測定条件 | 最小 | 標準 | 最大 | 単位 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| チャージポンプ電圧1 | Vvcp | VB=8~18V | VB+5.7 | - | VB+14.5 | V |
| チャージポンプ電圧2 | VvcpL | VB=5.7~8V | VB+4.3 | - | VB+8 | V |
| ハイサイド ゲート、ソース間オン時 駆動電圧1 |
VgsHSsrc1 | SHx=VB、 Iload=-100μA VB=8~18V GHx-SHx |
4 | - | 12 | V |
| ハイサイド ゲート、ソース間オン時 駆動電圧2 |
VgsHSsrc2 | SHx=VB、 Iload=-100μA VB=5.7~8V GHx-SHx |
4 | - | 8 | V |
| ハイサイド ゲート、ソース間オフ時 シャント電圧 |
VgsHSsnk | SHx=VB、 Iload=-100μA GHx-SHx |
- | - | 0.2 | V |
| ローサイド ゲート、ソース間オン時 駆動電圧1 |
VgsLSsrc1 | SL=GND、 Iload=-100μA VB=8~18V GLx-SL |
4 | - | 12 | V |
| ローサイド ゲート、ソース間オン時 駆動電圧2 |
VgsLSsrc2 | SL=GND、 Iload=-100μA VB=5.7~8V GLx-SL |
4 | - | 8 | V |
| ローサイド ゲート、ソース間オフ時 シャント電圧 |
VgsLSsnk | SL=GND、 Iload=-100μA GLx-SL |
- | - | 0.2 | V |
| 出力抵抗1 | Ronh | ゲートドライバーオン Iload=-50mA |
- | 10 | 20 | Ω |
| 出力抵抗2 | Ronl | ゲートドライバーオン Iload=50mA |
- | 3 | 6 | Ω |
表3 当社の車載ブラシ付きモーター向けゲートドライバーICのラインアップ状況
| 品番 | ステータス | パッケージ | ゲート ドライバー |
チャージポンプ | 電流 検出 |
リレーゲート ドライバー |
SPI | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| TB9103FTG | 量産中 | VQFN24 | ○ (H-bridge or 2ch Half-bridge) |
○ (2倍昇圧) |
- | - | - | メカニカルリレーから半導体への置換提案 |
| TB9104FTG | 開発中 | VQFN32 | ○ (H-bridge or 2ch Half-bridge) |
○ (2倍昇圧) |
○ (1ch) |
○ (1ch) |
○ |
SPIで詳細制御が可能 汎用性の高い製品 |
| TB9052FNG | 量産中 | HTSSOP48 | ○ (H-bridge) |
○ (3倍昇圧) |
○ (1ch) |
- | - | Hブリッジのゲートドライバーにシーケンス生成回路を追加 |
| TB9057FG | 量産中 | LQFP48 | ○ (H-bridge) |
○ (3倍昇圧) |
○ (1ch) |
- | - | 低電圧駆動、機能安全強化、 モーター駆動方向検出回路を内蔵 |
[注1] Serial Peripheral Interface の略。シリアル通信として少数の配線を、バス接続で複数のデバイスで共有する通信。
[注2] Quad Flat Non-leaded package の略。リードが無く、4側面に電極がある。
[注3] Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor の略。金属酸化膜半導体電界効果型トランジスター。
[注4] Pulse Width Modulation の略。オン期間とオフ期間について、周期と比率を変えて負荷の駆動を制限するのに用いる。
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