マイコンとモータードライバーを統合した「SmartMCD™」シリーズ製品 TB9M003FG

TB9M003FGは車載モーターシステムの小型化・低価格化に貢献し、また電動ウオーターポンプ、電動オイルポンプ、電動ファン、電動ブロアーなど3相ブラシレスモーターを使用するアプリケーション向けに好適です。

カーボンニュートラル実現に向けた取り組みの一つとして、自動車の電動化が進んでいます。電動化を支える車載モーターシステムは、小型で安価であることが求められ、車載モーターシステムの主要な構成部品であるモータードライバーも小型化と低価格化が必要です。また、自動車の電動化が急速に進む中、燃費改善や環境負荷の低減を目指して、走行用動力以外の部分でも電動化が進んでおり、特にモーターの制御技術としてベクトル制御 (FOC: Field Oriented Control) が注目され、搭載が求められています。FOCは、高トルクで静音性に優れ、かつ効率的なモーター制御を実現する技術で、電動車両の性能向上に大きく寄与しています。

これらの市場の要求に対応するため、当社はマイコンとモータードライバーを統合した「SmartMCD」シリーズの一つとしてTB9M003FGを開発しました。この製品は、マイコンとモーター用ゲートドライバーおよびその周辺部品である電源、通信用インターフェースなどの個別の部品を1チップ化、これにより、ECU基板やシステムの小型化、基板設計やシステム設計の簡素化に加え、実装品質の向上が図られます。

また、当社独自のベクトル制御用ハードウェアエンジン (ベクトルエンジン (VE)) の搭載によりコンパクトなArm®Cortex®‐M0、システムクロック40MHzでも、センサー不要の1シャント方式ベクトル制御 (FOC) を実現しています。

さらに、従来の3相のモーター電流をそれぞれ3個の抵抗から測定する3シャント方式と比較して、1シャント方式は1個の抵抗で測定するため部品面積とコストを削減することが可能で車載モーターシステムの小型化・低価格化に貢献します。

この製品の主な特長

特長の解説

1. マイコンとモーター用ゲートドライバーおよびその周辺部品を1チップに統合

従来のモーター制御システムでは、マイコンとモーター用ゲートドライバーおよびその周辺部品である電源、通信用インターフェースなどが個別の半導体製品で構成されていました。本製品では、これらを1チップに統合、ECU基板やシステムの小型化、基板設計やシステム設計の簡素化に加え、実装品質の向上にも貢献致します。

1チップに統合したTB9M003FG
図1 1チップに統合したTB9M003FG

2. センサーレス1シャント方式ベクトル制御に対応

2-1. 「1個のシャント抵抗でセンサーレスを実現」

通常はホールセンサーなどのセンサーデバイスを使用してモーターの角度を検出していますが、本製品は測定したモーター電流からモーターの角度を推定する方式を採用し、センサーレスを実現しています。また通常、3相のモーター電流をそれぞれ3個の抵抗から測定していますが、本製品は3相のモーター電流をモーター制御するPWM波形と電流検出タイミングを工夫することにより、抵抗1個で3相のモーター電流の検出を実現しています。これにより部品面積とコストを削減可能で小型化・低価格化に貢献します。

1個のシャント抵抗で3相のモーター電流の検出を実現
図2 1個のシャント抵抗で3相のモーター電流の検出を実現

2-2. 「東芝独自のベクトルエンジン(VE)」

上記2-1.にて記述したアルゴリズムおよび工夫は、東芝独自のベクトルエンジン (VE) に組み込まれております。これによりコンパクトなCPUでも制御周期で処理できなかったベクトル制御が可能となり、CPUとしてコンパクトなArm®Cortex®-M0、システムクロック40MHzにおいても高度なベクトル制御を実現しています。

東芝独自のベクトルエンジン (VE) のブロック図
図3 東芝独自のベクトルエンジン (VE) のブロック図
VE搭載によりコンパクトなCPUでも制御周期にて処理が可能なイメージ図
図4 VE搭載によりコンパクトなCPUでも制御周期にて処理が可能なイメージ図

3. ソフトウェア開発パッケージの提供

当社からは、ソフトウェア開発に必要な下記を準備しています。

3-1. 「モーター制御リファレンスソフトウェア」

当社から提供する「モーター制御リファレンスソフトウェア」は、お客様の量産製品のシステム開発に寄与できるので、ソフト開発を効率的に進められ、開発期間の短縮が可能です。

3-2. 「モデルベース開発 (MBD) 環境」

当社が提供する「MBD開発環境」を使用することで、当社提供の「モーター制御用リファレンスソフトウェア」を使用したシステムのシミュレーションが可能になります。
当社MBD環境の「制御モデル」にはモーター制御向けハードウェアの機能モデルをモデル化した「ハードウェアブロックセット」を組み込み、提供する制御モデルとともに使用することで、実機検証に相当するシステムのシミュレーションを実現しました。

TB9M003FG モデルベース開発環境の概要図
図5 TB9M003FG モデルベース開発環境の概要図

3-3.「自動チューニングシステム」

PCツールとファームウェア搭載の基板で構成された評価キットを準備しています。これにより、モーター制御のパラメーター自動チューニングが可能です。

PCツールとファームウェアで構成された自動チューニングシステム
図6 PCツールとファームウェアで構成された自動チューニングシステム

アプリケーション

車載向け

  • 電動ウオーターポンプ
  • 電動オイルポンプ
  • 電動ファン
  • 電動ブロアー など

製品スペック

品番 TB9M003FG
対応モーター 三相ブラシレスDCモーター
主なファンクション ゲートドライバー、チャージポンプ、1シャント抵抗電流検出アンプ、12ビットADC、ベクトルエンジン、プログラマブルモータードライバー、LIN PHY
主な異常検出機能 低電圧検出、高電圧検出、 外付けパワーMOSFETのオープン/ショート故障検出、過熱検出
絶対最大定格 電源電圧 Vbat (V) -0.3~+40
動作範囲 電源電圧 Vbat (V) 6~18
動作温度 Topr (℃) Ta=-40~150
Tj=-40~175
パッケージ 名称 P-HTQFP48-0707-0.50-001
サイズ (mm) Typ. 9.0×9.0
信頼性 AEC-Q100 (Grade 0) 適合

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* SmartMCD™は東芝デバイス&ストレージ株式会社の商標です。
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