厳しいノイズ環境下での機器の信頼性向上に貢献する過電圧・過熱保護機能付きフォトリレー

これは、厳しいノイズ環境下での機器の信頼性向上に貢献するの画像です。

当社は、業界初[注1]の過熱保護と過電圧保護機能を搭載したDIP4パッケージの阻止電圧80 Vフォトリレー「TLP241BP」を製品化し量産出荷を開始します。
フォトリレー (MOSFET出力フォトカプラー) はスイッチの一種ですが、半導体スイッチのため従来のメカニカルリレーと比較し、以下の利点を備えています。そのため、長寿命、静粛性が求められるビルディングオートメーションやホームオートメーション関連機器に好適です。

  1. 物理接点がないため、出力側の接点寿命がない
  2. 半導体スイッチのためスイッチ時の音が出ない
  3. 駆動電力が小さい
  4. 小型

オフィスビルにおいてはカーボンニュートラル達成のため、空調や照明の細かい制御を行う「ビルディングオートメーション」と呼ばれるシステムの導入が進んでいます。大量のエネルギー消費が行われているビルディングで、新築時に効率的なエネルギーの利用を目指した制御が求められる一方、既存ビルディングにおいても機器のリプレイスの際に同じような効率化を求めるケースが増えてくるためです。さらにはビッグデータを用いたビルディングエネルギーマネージメントシステム (BEMS) の一端末としての役割がサーモスタットに求められるようになってきており、大規模なシステムの一部として機能する事になるため動作時間の延長や動作安定性も求められます。また、家庭内で使用している電気機器の使用量や稼働状況などをリアルタイムで見える化し電気の使用状況を把握したり、太陽光発電装置などとの接続で消費者がエネルギーを管理するホームエネルギーマネージメントシステム (HEMS) の一端末としても使用されています。サーモスタットなどの装置には、温度・湿度・明るさなど各種情報をシステムに取り込み、快適性と省エネを両立した空調・照明制御を行います。この装置にはインターフェースとしてスイッチが多用されます。
新製品TLP241BPは、フォトリレーへの過度な印加電流などで定格を超える温度上昇が生じたときに、出力側MOSFETを強制的にOFFさせる過熱保護機能を搭載しています。加えて、出力側MOSFETがOFF時に阻止電圧定格を超える過電圧が印加されたときに、デバイスを保護するアクティブクランプMOSFETを搭載しています。これらの機能により、空調システムのような厳しいノイズ環境下で使用される機器を保護することができ、機器の信頼性向上に貢献します。

[注1] オン電流定格1A以上のフォトリレーで、2023年10月当社調べ。

製品の特長

  1. 過熱保護 (OTP[注2]) ・過電圧保護 (OVP[注3]) 機能を搭載
  2. サーモスタットに最適な阻止電圧 / オン電流定格
  3. 高絶縁耐圧を実現

[注2] Over Temperature Protection
[注3] Over Voltage Protection

1. 過熱保護 (OTP) ・過電圧保護 (OVP) 機能を搭載

これは、ブロック図です。
ブロック図

過熱保護機能とは、著しい周囲温度の上昇や、意図しない大電流負荷にてデバイス自身の発熱などにより、劣化・破壊を防ぐ機能です。また、過電圧保護機能とは、外部からのサージ電圧(雷や静電気など)やデバイスの異常などで入力側または出力側が過電圧状態になった時に、過電圧を抑制し、デバイスを保護する機能です。
TLP241BPは、過熱保護機能と過電圧保護機能を搭載しており、その保護機能シーケンスをタイミングチャートで示します。入力側のLED順電流をIF、出力側の電流をIONとします。

これは、保護機能シーケンスの画像です。
保護機能シーケンス

TLP241BPは1a接点 (ノーマリーオープン型) のため、通常動作 (ステップ1) では通常のフォトリレーと同様、IFを入力したときに出力側がオンとなり、電流が流れます。デバイスに定格ION以上の大きな電流が流れた際に、TLP241BPが過熱状態となり、過熱保護 (OTP) が動作します (ステップ2) 。これにより、出力側がシャットダウンし、IFをリセットするまでOFFし続けます。過熱保護機能は、このように何らかの理由で素子が過熱状態となった際に、出力側がシャットダウンする機能です。「OVP」では、出力側にアクティブクランプMOSFETを使用しており、出力側OFFかつ過電圧が印加された際、過電圧保護により出力側がクランプされIONが一時的に流れます。

2. サーモスタットに最適な阻止電圧 / オン電流定格

既存のBEMSやHEMSではいろいろな形でマネージメントシステムが構築され、様々な端末や機器が接続されています。このシステムの一端末であるサーモスタットは常時接続されています。サーモスタットが接続されている機器は空調機器を中心に多方面の機器に接続され、常にノイズや異常にさらされています。システムからの絶縁はこのリスクを回避するために不可欠です。このような絶縁には、フォトリレーが好適です。
これらに用いられるサーモスタットは、電源電圧がAC24 Vのものが多いですが、AC36 VやAC48 Vの電源電圧にも対応できるように、TLP241BPには80 V耐圧のMOSFETを採用しています。また、大電流を扱うHVAC[注4]システムにも対応できるように、オン電流定格を1.4 Aとしました。

[注4] Heating, Ventilation and Air Conditioning: 空調制御システム

これは、サーモスタットに最適な阻止電圧 / オン電流定格の画像です。
これは、サーモスタットの画像です。

3. 高絶縁耐圧を実現: 5000Vrms

電気機器の安全性を担保するのは様々な方法があります。電気機器が故障をした際に消費者が感電事故や火災事故などを未然に防がなければなりません。特に絶縁耐圧は通常扱う電圧に加え、何らかの電気的異常が起きた際にも安全を担保するための十分な絶縁耐力が無ければなりません。TLP241BPは最小絶縁耐圧5000Vrmsを実現し、高い絶縁性能が必要な機器に使用し、機器や消費者の安全の確保に貢献できます。

応用機器

  • BEMS/HEMS機器
  • サーモスタット
  • 各種センサー制御
  • I/Oインターフェース
  • バッテリーマネジメントシステム
  • 各種メカニカルリレーの置き換え

新製品の主な仕様

(特に指定のない限り、Ta=25°C)

品番 TLP241BP
パッケージ DIP4
接点タイプ 1a
保護機能 過熱保護温度 TSD (°C) typ. 145
過電圧クランプ VOVC (V) 80~100
絶対最大定格 阻止電圧 VOFF (V) 80
オン電流 ION (A) 1.4
オン電流 (パルス) IONP (A) 4.2
動作温度 Topr (°C) -40~110
結合特性 トリガーLED電流 IFT (mA) max 3
オン抵抗 RON (Ω) ION=1.4A typ. 0.16
オン抵抗 RON (Ω) ION=1.4A max 0.28
スイッチング特性 ターンオン時間 tON (ms) IF=10mA、VDD=20V、RL=200 Ω max 1.4
ターンオフ時間 tOFF (ms) IF=10mA、VDD=20V、RL=200 Ω max 0.5
絶縁特性 絶縁耐圧 BVS (Vrms) min 5000

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