2. 金属・半導体接合

pn接合でp型半導体とn型半導体の拡散電位の話をしました。
pn接合ではフェルミ準位が基準となっていて重要であることを理解していただけたと思います。
金属と半導体の接合の場合も無バイアスではフェルミ準位が一致するように接合します。拡散電位(障壁電位)の基準となる電位は少し異なり、仕事関数が使用されます。後で述べるようにこの差分の大小は接合時の特性を左右します。

ここで使用する用語を整理しておきます。

  • 電子親和力:一般的に原子や分子に電子を1つ与えたときに放出されるエネルギーです。半導体では伝導帯の最低エネルギーレベルから真空準位までのエネルギー差になります。金属の場合、仕事関数と大きさが一致します。
  • フェルミ準位:電子の存在する確率がフェルミ分布の計算上1/2となるエネルギー準位。
  • 仕事関数:自由電子を分子から1つ取り出すのに必要なエネルギーです。フェルミ準位と真空準位の差になります。
  • 真空準位:電子などの電荷を持った粒子が、運動エネルギーゼロの状態で真空中に存在するときのエネルギー準位
図2-1 半導体と金属のフェルミ準位と仕事関数の関係
図2-1 半導体と金属のフェルミ準位と仕事関数の関係

n型半導体(仕事関数Φn)と金属(仕事関数Φm)を接合させた場合、この仕事関数の大きさにより異なる特性となります。n型半導体の仕事関数と比較して、金属の仕事関数が高い (Φm > Φn) 場合はショットキー接合、低い (Φm < Φn) 場合は、オーミック接合となります。半導体の仕事関数は、フェルミ準位から真空準位を引いた値です。

2章 ショットキーバリアダイオードの基礎(金属・半導体接合)

2-1. ショットキー接合 (Φm > Φn)
2-2. オーミック接合 (Φm < Φn)
2-3. 伝導度変調

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