CMOSロジックICの基本動作

MOSFETは、ゲート・ソース間の電位差を一定値 (しきい値|V_th|とする) より大きくすると、ドレイン・ソース間の抵抗が小さくなります (オン状態)。このときのドレイン・ソース間の抵抗値をオン抵抗と呼びます。
ただし、N-ch MOSFETとP-ch MOSFETでは、ゲートとソース間にかける電圧の向きが異なります。下図にてMOSFETがオンする状態を示します。

N-ch MOSFET: ゲート電位をソース電位より|V_th|高い電圧を印加するとオンします。

P-ch MOSFET: ゲート電位をソース電位より|V_th|低い電圧を印加するとオンします。

下図にCMOSロジックICの基本回路 (インバーター) を示します。
CMOSロジックICの基本回路の特徴は、V_INがV_CCレベルまたはGNDレベルであれば、P-ch MOSFETまたはN-ch MOSFETのいずれかがオフとなるため、電源-GND間に流れる電流 (I_CC) は非常に小さくなります。CMOSロジックICでは、入力信号が変わらない時 (入力がV_CCレベルまたはGNDレベル) は、I_CCは非常に小さくなります。　

下図にCMOSのV_IN-I_CC特性を示します。
V_INが０から|V_th|、V_CC－|V_th|からV_CCの間は、電源-GND間に流れる電流 (I_CC) は非常に小さくなります。しかし、V_INが|V_th|からV_CC－|V_th|の間はP-ch MOSFETからN-ch MOSFETへ貫通電流が流れるためI_CCが増加します。したがいまして、V_INの立ち上がりまたは立ち下がり時間が極端に遅い信号 (「スロー入力」と呼ぶ) は、使用しないように注意する必要があります。