SiC ショットキーバリアダイオード(SBD)はなぜ耐圧が高いのですか?

SiC(シリコンカーバイド)はワイドバンドギャップと呼ばれる半導体の一つになります。通常のSi(シリコン)と比べて下表に示すように、バンドギャップが高い、絶縁破壊電界強度が高い、飽和速度が大きいなどが特徴になります。

一般的な構造のSBDに逆バイアスを印加したとき、金属-半導体の境界面から空乏層が広がります。この時の電界のイメージは図のようになり、金属-半導体の境界面で最大となります。絶縁破壊電界強度が電界の理論的な最大値となり、耐圧は空乏層の幅と電界で示される三角形の面積に等しくなります。

絶縁破壊電界強度はSiに比べてSiCは10倍近い値となりますので、耐圧の高いSBDを形成することができます。

半導体材料の物性定数

項目 単位 Si 4H-SiC 6H-SiC 3C-SiC GaN GaAs ダイヤモンド
バンドギャップ eV 1.12 3.26 3.02 2.23 3.39 1.43 5.47
電子移動度 μe cm2/Vs 1400 1000/1200 450/100 1000 900 8500 2200
正孔移動度 μh 600 120 100 50 150 400 1600

絶縁破壊電界強度 Ec

V/cm 3.0×105 2.8×106 3.0×106 1.5×106 3.3×106 4.0×105 1.0×107
熱伝導度 λ W/cmK 1.5 4.9 4.9 4.9 2.0 0.5 20

飽和速度 Vsat

cm/s 1.0×107 2.2×107 1.9×107 2.7×107 2.7x107 2.0×107 2.7×107

誘電率 ε

  11.8 9.7/10.2 9.7/10.2 9.7 9.0 12.8 5.5
絶縁破壊電界強度

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