基板設計時の注意点

図 6 アンテナにおけるESD保護用ダイオードの避けるべき配置例
図 6 アンテナにおけるESD保護用ダイオードの避けるべき配置例

基板設計を適切に行わないと、最適な外付けのESD保護用ダイオードを使用しても効果を得ることができません。
以下の点に注意して設計してください。

  1. ESD保護素子は配線ラインにダイレクトに接続してください。ANTラインなどの信号線から分岐してパターンなどで引き延ばした先に接続しないようにしてください。不要なインダクタンスが発生し、ESD保護素子の経路のインピーダンスを増加させます。
  2. GNDに関しても同様です。大元の太いGNDに接続してください。

16QAM / 64QAM

近年の通信機器は、通信速度アップの要求に従い、高速通信に適した16QAM/64QAM等の変調方式を採用しています。QAMは振幅と位相を細かく制御し、図に示すように同心円状ではなく矩形になっています。情報密度は非常に細かいが、ノイズや波形ひずみに弱いというデメリットがあります。

変調方式は大別して、ASK(Amplitude Shift Keying:振幅変調)、PSK(Phase Shift Keying:位相変調)、FSK(Frequency Shift Keying:周波数変調)、QAM(Quadrature Amplitude Modulation:直交振幅変調)に分けられます。
取り扱うデータがアナログからデジタルに移行し、多くの通信規格でQPSKに変調方式は移行しました。(QPSKは、振幅一定で4値の位相を使う通信方式で、4つのシンボル状態があり、1信号当たり 2bitの情報を伝達する事ができます。)伝送密度の向上が求められるようになり、変調方式は更に16QAM(直交する2軸で4つの振幅値を使う通信方式。16状態のシンボルがあり、1信号当たり4bitの情報を伝達する事ができます。)、更に64QAM(64QAMは、直交する2軸で8つの振幅値を使う通信方式。64状態のシンボルがあり、1信号当たり6bitの情報を伝達する事ができます。)へと移行しています。

QPSK
QPSK
16QAM
16QAM
64QAM
64QAM

図 7 変調方式

図 8 波形ひずみ と 高調波
図 8 波形ひずみ と 高調波

高調波歪

システムの非線形性により生じる歪みです。入力電圧に対してアンプのゲインが変動したり、波形をクランプするような動作を行うと生じます。
例えば、きれいな正弦波は基本波しか持ちませんが、この基本波が何らかの回路によって図のようにクランプされたとします。このときに高調波ひずみが発生します。この高調波の周波数は基本波周波数の整数倍の周波数となります。例では上下均等にクランプしているので、奇数次の高調波になっていますが、波形の歪み方によっては偶数次の高調波も発生します。