Rail to Railとは(フルレンジオペアンプ)

PCなどの電源ユニットでは複数のDC電源 を持ちます。これらの電源ラインをレールと呼びます。このとき各電源ラインの最大値 (VCC) から最小値 (GND又は負電圧最小値VEE) までの範囲をRail to Railと呼びます。

図-1 Pch MOSFET構成 入力差動対
図-1 Pch MOSFET構成 入力差動対

この範囲のほぼ全てをカバーする同相入力範囲を持つオペアンプが入力 Rail to Rail オペアンプ (フルレンジオペアンプ、フルスイングオペアンプ、RRIOとも呼ばれます) です。
出力側も同様にカバーしている場合は入出力Rail to Rail オペアンプとなります。
従来、オペアンプの入力差動対は図-1に示すようにPch MOSFETで構成されることが多く、電源付近の信号を入力すると電流源であるQp1が線形領域に入るため、利得が下がるなど正常な出力を得ることができませんでした。
Nch MOSFETで構成すると、同様な考え方でGND近傍の信号が正常に出力できません。
逆に考えると、Pch MOSFET構成はGND近傍まで、Nch MOSFET構成では電源近傍まで正常な出力を出すことができます。
入力Rail to Rail オペアンプは図-2に示すように入力にNch MOSFETの差動対とPch MOSFETの差動対を並列に接続することで電源からGNDまでのほぼ全域をカバーする同相入力範囲を実現しています。

表-1 Pch MOSFET構成差動対 オペアンプの同相入力範囲
表-1 Pch MOSFET構成差動対 オペアンプの同相入力範囲
図-2 各入力構成の同相入力電圧範囲
図-2 各入力構成の同相入力電圧範囲
図-3 Rail to railオペアンプ 入力簡易等価回路
図-3 Rail to railオペアンプ 入力簡易等価回路

関連リンク

以下の資料にも関連する説明がありますので、ご参照ください。