ドレイン・ソース間のボディダイオードを積極的に使用して良いですか?

ドレイン・ソース間のボディダイオードを積極的に使用することは可能です。実際にモーターの駆動回路や電源回路などで積極的に使用されています。

下図に、MOSFET断面中にボディダイオードが形成される位置と、寄生素子を考慮した等価回路を掲載しました。
弊社は、これら用途に使用されるMOSFETではボディダイオードの規格をデータシートに記載しています。

図1:絶対最大定格の項目例
図1:絶対最大定格の項目例
表1:項目と説明
項目 記号 単位 説明
ドレイン逆電流(連続)
ドレイン逆電流(パルス)
IDR
IDRP
A MOSFETのボディーダイオード順方向電流の許容される最大値です。
順方向電圧(ダイオード) VDSF V ボディーダイオードに順方向電流を流した時のドレイン・ソース間電圧です。
逆回復時間 trr ns 指定の測定条件におけるボディーダイオードの逆回復動作において逆回復電流が消滅するまでの時間(trr)及び電荷量(Qrr)です。その時のピーク電流値がIrrです。
逆回復電荷量 Qrr μC
ピーク逆回復電流 Irr A
ダイオードdv/dt耐量 dv/dt V/ns ダイオード逆回復時のドレイン・ソース間電圧変動に対する耐量です。
表2:データシート記載例
項目 記号 測定条件 最小 標準 最大 単位
順方向電圧 (ダイオード) VDSF IDR = 30.8 A, VGS = 0 V - - -1.7 V
逆回復時間 trr IDR = 15.4 A, VGS = 0 V
-dIDR/dt = 100 A/μs
- 135 220 ns
逆回復電荷量 Qrr - 0.6 - μC
ピーク逆回復電流 Irr - 10 - A
ダイオード dv/dt耐量 dv/dt IDR = 15.4 A, VGS = 0 V, VDD = 400 V 50 - - V/ns

ボディダイオードの説明がアプリケーションノート「電気的特性:パワーMOSFET アプリケーションノート」にあります。こちらもご参照ください。