抵抗内蔵型トランジスター(BRT)データシートの読み方(電気的特性)

図-1 NPN BRT等価回路
図-1 NPN BRT等価回路

主な電気的特性に関して説明します。
データシート記載の電気的特性は、特に断りのない限り Ta = 25℃で規定しています。項目の数値だけでなく、掲載しているグラフも参考にして設計してください。

図-2 IC – VI(ON)
図-2 IC – VI(ON)

1. 入力オン電圧 VI(ON)
トランジスターが規定の条件で規定の電流を流すための入力電圧です。確実に動作させるためには、入力オン電圧VI(ON)の最大電圧より高い電圧をB-E端子間に印加する必要があります。
また IC – VI(ON) カーブを見ると、負の温度依存性があることがわかります。

製品別入力オン電圧
項目 記号 測定条件 最小 標準 最大 単位
入力オン電圧 RN1401 VI(ON) VCE = 0.2 V, IC = 5 mA 1.1 2 V
RN1402 1.2 2.4
RN1403 1.3 3
RN1404 1.5 5
RN1405 0.6 1.1
RN1406 0.7 1.3
図-3 IC – VI(OFF)
図-3 IC – VI(OFF)

2. 入力オフ電圧 VI(OFF)
トランジスターがオフしていると定義している条件を満たす入力電圧です。確実にオフさせるためには入力オフ電圧 VI(OFF)の最小電圧より低い電圧をB-E端子間に印加する必要があります。入力オン電圧と同様に負の温度依存性があります。

製品別入力オフ電圧
項目 記号 測定条件 最小 標準 最大 単位
入力オフ電圧 RN1401 ~1404 VI (OFF) VCE = 5 V, IC = 0.1 mA 1.0 1.5 V
RN1405, 1406 0.5 0.8
図-4 VCE(sat) – IC
図-4 VCE(sat) – IC

3. コレクター・エミッター間飽和電圧 VCE(sat)
トランジスターが規定の電流条件で飽和領域にあるときのコレクター・エミッター間電圧です。VCE(sat) – ICカーブを見てわかるように正の温度依存性があります。

製品別コレクター・エミッター間飽和電圧
項目 記号 測定条件 最小 標準 最大 単位

コレクター・エミッター間

飽和電圧

RN1401~1406 VCE(SAT) IC = 5 mA, IB = 0.25 mA 0.1 0.3 V
図-5   BRT R 変化率  -   Ta
図-5 BRT R 変化率 - Ta

4. 入力抵抗 R1
トランジスターのベースに直列にある抵抗R1の値です。この製品の場合、バラツキ幅は±30%あります。この抵抗の値がVI(ON)などに影響します。また、-0.2%/℃程度の温度依存性があります。

製品別入力抵抗
項目 記号 測定条件 最小 標準 最大 単位
入力抵抗 RN1401 R1 3.29 4.7 6.11
RN1402 7 10 13
RN1403 15.4 22 28.6
RN1404 32.9 47 61.1
RN1405 1.54 2.2 2.86
RN1406 3.29 4.7 6.11

5. 抵抗比率 R1/R2
R2値を基準としたR1抵抗値の比率です。バラツキ幅は±10%あります。ベース・エミッター間抵抗 R2は抵抗単体での規格はありません。抵抗比 R1/R2の方が重要なので、抵抗比で規格しています。

製品別抵抗比率
項目 記号 測定条件 最小 標準 最大 単位
抵抗比率

RN1401~

1404

R1 / R2 0.9 1.0 1.1  
RN1405 0.0421 0.0468 0.0515
RN1406 0.09 0.1 0.11