バイポーラ―トランジスターのベースに定格を超えた逆バイアスを印加するとどうなりますか?

絶対最大定格(表-1)に記載されているエミッター・ベース間電圧 VEBOを超えた電圧(npnは負バイアス、pnpは正バイアス)を印加するとhFEなどの性能が劣化または破壊するおそれが有ります。絶対最大定格をこえる電圧を印加しないでください。

図-1 単安定マルチバイブレータ(上記の2モード)
図-1 単安定マルチバイブレータ(上記の2モード)

バイポーラートランジスターの濃度はエミッターが最も高く、ベース、コレクターの順になっています。バイポーラートランジスターに対し100倍以上の高濃度になっています。濃度が高くなるほど耐圧は低くなる傾向があります。VEBOは数Vしかありません。ベースに大振幅の信号を入力する場合など注意が必要です。また、また下記の回路など一部の回路では逆バイアスが印加されます。使用する条件など設計時に考慮願います。
単安定マルチバイブレーターなどをバイポーラートランジスターで構成した場合、ベースに定格値(VBEO)以上のバイアスが印加されることがあります。
図-1にマルチバイブレーターの回路図を示し、動作を説明します。

  1. 初期状態としてQ1がオンしているとします。Q1のコレクターはGND付近まで電圧が下がっています。
    C1がR3を経由して充電、C2がR2を経由して充電されます。
  2. C1が充電されQ2のオン電圧(0.7 V程度)に達するとQ2がオンします。
    Q2のコレクター電圧がGND付近まで降下します。この直前C2の両端の電圧はVCC – 0.7 Vまで充電されています。
    Q2のコレクターの電圧が下がっても、C2の電荷は蓄積したままなので、C2のQ1ベース側の電圧は0.7 VーVCCまで下がることになります。

この動作が繰り返されることで単安定マルチバイブレーターとして動作します。
VCCが仮に10 Vであれば、Q1とQ2のベース・エミッター間電圧として最大定格の -5 Vを超える-9.3 Vが印加されることになります。

表-1 絶対最大定格
表-1 絶対最大定格

関連リンク

以下の資料にも関連する説明がありますので、ご参照ください。