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図1に示すように、当社DTMOSシリーズはドリフト層にP層とN層が交互に配置されているスーパージャンクション(SJ)構造を採用しています。当社が開発したSJ-MOSFET向けSPICEモデルは、図2に示す通り、ID-VDS特性の高電流領域における飽和特性を表現している点と、素子に印加されるドレイン電圧に対する急峻な容量変化を電圧に依存した任意関数によって表現している点が大きな特長です。
図3にSJ構造を採用したDTMOSシリーズの製品であるTK040N65ZのID-VGSとID-VDS特性の実測値と当社で開発したSPICEモデルを用いたシミュレーション値との比較による再現レベル(フィッティング精度、と表現)を示します。SJ-MOSFETなどの高耐圧MOSFETは深さ方向に伸びる長いドリフト層における抵抗の影響が顕著になるため、図3のID-VGSカーブのようにIDが高い領域でドレイン電流が飽和します。当社が開発したSPICEモデルにおいては、この飽和特性をドレイン側に付与した非線形抵抗RXによって表現しているため、高電流領域においても実測値の傾向を高精度に表現することができます。
図4に入力容量Cissと出力容量Coss、帰還容量CrssのVDS依存性について、実測値とシミュレーション値との比較を示します。SJ-MOSFETはSJ構造に起因したPN接合から伸びる空乏層により容量特性は急峻に変化します。これに対し当社が開発したSPICEモデルにおいては、複数の任意関数を組み合わせた非線形容量をドレイン・ゲート・ソースの各端子間にCgs/Cgd/Cdsとしてそれぞれ付加し、実測値の非線形性を高精度に表現しました。
これまでに述べたSJ-MOSFET向けG2モデルを用いて、図5に示すインダクタンス負荷スイッチング回路におけるターンオフ時のスイッチング波形の実測とシミュレーションの比較を図6に示します。容量特性の非線形性を高精度に表現できる当社開発のG2モデルを用いることによって、VDSの立ち上がりdVDS/dtやVGS発振に伴うVDSとIDの発振波形も表現できていることが分かります。当社が開発したSJ-MOSFET向け高精度SPICEモデル(G2モデル)はスイッチング動作などの動特性についても十分に検証可能なSPICEモデルです。
図6:インダクタンス負荷スイッチング回路におけるターンオフ波形の実測値(グレー線)とシミュレーション値(赤線)の比較
(a)VGS波形、(b)VDS波形、(c)ID波形
当社高精度SPICEモデル(G2モデル)は実機に近いスイッチング波形をシミュレーションで再現できます。実機製造前にシミュレーションによって課題を明らかにすることでやり直し作業が減り開発TATの改善につながります。ぜひ当社高精度SPICEモデル(G2モデル)をご活用ください。