ESD保護素子があるのにICが破壊します。なぜですか?

ESD保護素子は図に示すように、ESDなどの異常入力によるエネルギーの多くを保護素子側に流し、保護対象を守る素子です。ただし、利用方法を誤ると十分に機能せず保護対象が劣化・破壊してしまうことがあります。

ESD保護素子が十分に機能しない一般的な原因として以下の2つが考えられます。

  • 保護対象のICに対し最適なESD保護素子が選択されていない

ESD保護ダイオードのクランプ電圧VCが高ければ高いほど、被保護対象に印加されるESDのエネルギーは高くなります。必要以上に高いクランプ電圧の製品を選択するべきではありません。また、同じクランプ電圧であればよりダイナミック抵抗の低い製品を選択することが保護性能を高めることになります。
(詳しくは、FAQ:“TVSダイオード(ESD保護ダイオード)の選択方法”を参照ください)
TVSダイオード(ESD保護ダイオード)の選択方法

図-1 ESD保護ダイオード挿入例
図-1 ESD保護ダイオード挿入例
図-2 クランプ電圧の異なるESD保護ダイオード
図-2 クランプ電圧の異なるESD保護ダイオード
  • ESD保護素子のレイアウトが適切でない

最適なESD保護ダイオードを選択しても、レイアウトが適切でなければ保護性能を十分に生かしきることはできません。ESDは非常に短いパルス状の特性をしています。このため配線のインダクタンスなど影響を大きく受けます。ESD保護ダイオードは、コネクターなどの想定されるESD侵入口と保護対象の間に挿入されます。可能な限り侵入口の近くに配置する必要があります。保護する信号ラインだけでなく、グランド側のパターンも短く・太く、VIAホールなどを経由しないなどの注意が必要です。
(詳しくは、FAQ:“TVSダイオード(ESD保護ダイオード)基板設計の注意点”を参照ください)
TVSダイオード(ESD保護ダイオード)基板設計の注意点

図-3 ESD保護ダイオード レイアウト例
図-3 ESD保護ダイオード レイアウト例

関連リンク

TVSダイオード (ESD保護用ダイオード) の製品ラインアップについては、以下のページ、ドキュメントをご参照ください。