オペアンプでフィードバックが使用されるのはなぜですか?

通常のオペアンプは開放利得(オープンループ利得)が105倍(100 dB)程度あり、そのまま使用すると利得の感度が高く回路設計が難しくなります。負帰還(フィードバック)を利用すると、利得やカットオフ周波数を必要な値に設定することができます。これにより安定性が増し、またオペアンプの性能バラツキや部品のバラツキ、温度などの環境パラメーターによる感度を下げることが可能になります。

図-1 負帰還回路例(反転増幅回路)
図-1 負帰還回路例(反転増幅回路)

負帰還回路(反転増幅回路 図-1)の利得Gvは簡易的に下式で表されます。
Gv=-R2/R1
式を見ると、外付けの抵抗比で利得は決まり、温度などの環境の要因の影響を受けにくくなることが分かります。図-2に一般的なオペアンプのボーデ線図を示します。負帰還を構成しないオープンループゲイン(開ループ利得)は6 dB/Oct(= 20 dB/Dec)で減衰していることが分かります。これに対し、クローズドループゲイン(閉ループ利得)は10 kHzまで(オペアンプの周波数特性により変わります)一定の利得となります。このようにフィードバックを利用することにより一定の利得を持つ帯域幅を広げることが可能です。
また、オペアンプは負帰還をかけない状態では、DC領域のオープンループゲインは非常に高い利得を持ちますがバラツキがあります。負帰還をかけることで外部抵抗によって設定されるゲイン(クローズドループゲイン)に固定され、オープンループゲインのバラツキを吸収することが可能です。

図-2 オペアンプ ボーデ線図
図-2 オペアンプ ボーデ線図
図-3 同一製品でのバラツキ例
図-3 同一製品でのバラツキ例
図-4 負帰還回路でのバラツキ吸収
図-4 負帰還回路でのバラツキ吸収

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