過渡熱抵抗特性と安全動作領域

デバイスに単発パルスを加え、その時に発生する熱を印加した電力で割った物が熱抵抗値で、これをパルス時間単位で表した物が過渡熱抵抗特性です。

SOAの熱制限領域はこの過渡熱抵抗から計算されています。

過渡熱抵抗は瞬時パルス電力を印加したときにジャンクション温度を求める場合に使用されます。また、連続パルス電力を印加した場合のジャンクション温度を推定することも可能です。詳しくはアプリケーションノート「バイポーラートランジスターアプリケーションノート:熱安定度と放熱設計」を参照ください。

過渡熱抵抗とSOAの関係は下記に示す関係になっています。

  Tj(max) = rth(j-c) x Po + Ta

図-1 過渡熱抵抗のグラフから、パルス幅

10msecのときの過渡熱抵抗は

  rth(j-c) =0.92 ℃ / W

Tj(max)となる電力尖頭値は

 150℃=0.92℃/W*Po + 25℃

 Po = 125 / 0.92 = 135.8 W

例えば VCE=80Vのときの電流は

以下となります

 135.8 / 80 = 1.7A

従って、図-2のSOAのグラフで青の点線で示される線が過渡熱抵抗から決まる領域になります。Tj(max)を超えないよう、

斜線範囲内で使用しなければなりません。この過渡熱抵抗から決まる領域を熱制限領域と呼びます

 

図-1 過渡熱抵抗 - パルス幅
図-1 過渡熱抵抗 - パルス幅
図-2 安全動作領域(SOA)
図-2 安全動作領域(SOA)