車載ブラシ付きモーター用ゲートドライバーIC

車載用途に必要最低限の機能を備えた2chハーフブリッジ(Hブリッジ)ゲートドライバーICです。
ブラシ付きモーターを使用するボディー系全般に対応しています。
特に、メカニカルリレーでモーター駆動しているシステムを半導体化することで、高信頼性と小型化を実現します。

<この製品のポイント>

近年、車載機器は機械式であった可動部の電動化が進み、自動車1台当たりのモーターの需要が増加しています。モーターを駆動するドライバーの数も増加しており、システムの小型化、統合化が進んでいます。中には回転速度制御不要のモーターアプリケーションもあり、機能、性能を絞ったドライバーが求められています。
当社はこの需要に対応するために製品ラインアップの強化に取り組んでおり、ここでご紹介する「TB9103FTG」はその強化の一環です(表1)。

表1 当社の車載ブラシ付きモーター向けゲートドライバーICのラインアップ状況

品番 ステータス パッケージ ゲート
ドライバー
チャージ
ポンプ
電流検出
リレーゲート
ドライバー
SPI 備考
TB9103FTG 開発中 VQFN24
(H-bridge or 2ch Half-bridge)

(2倍昇圧)
メカリレーから半導体リレーへの置換提案
TB9104FTG 開発中 VQFN32
(H-bridge or 2ch Half-bridge)

(2倍昇圧)

(1ch)

(1ch)

 
最小限の機能で汎用性の高い製品
TB9052FNG 量産中 HTSSOP48
(H-bridge)

(3倍昇圧)

(1ch)
Hブリッジのゲートドライバーにシーケンス生成回路を追加
TB9057FG 量産中 LQFP48
(H-bridge)

(3倍昇圧)

(1ch)
低電圧駆動、機能安全強化、
モータ-駆動方向検出回路を内蔵

車載用途として必要最低限の機能を搭載

TB9103FTGは、ブラシ付きモーターを駆動する外付けのNch-MOSFETを制御するためのゲートドライバーICです。また、各種異常状態(VDS、VGS、過熱、電源、設定などの異常)をDIAG端子に出力します。DIAG端子は2つあり、2チャンネルあるハーフブリッジのどのチャンネルで異常が発生しているかを判別することができます。

これは、図1 TB9103FTGの内部回路概要と応用回路例の画像です。
図1 TB9103FTGの内部回路概要と応用回路例

TB9103FTGの製品価値①:

機能のコンパクト化でシステム設計をシンプルにすることに貢献

TB9103FTGは高度な制御を可能とするマイコンを使用しないケースを想定しておりますが、システムで最も避けたい外付けNch-MOSFETの貫通電流を本製品が内蔵する自動デッドタイム制御で回避します。

TB9103FTGの製品価値②:

小型パッケージ採用(VQFN24)でECU[注1]サイズの小型化に貢献

TB9103FTGは機能のコンパクト化により端子数を減らすことで、世界最小クラス[注2]のパッケージを選択できました。そのサイズはVQFNの24pinで16mm2です。

これは、図2 パッケージサイズの比較の画像です。
図2 パッケージサイズの比較

本製品の小型化を実現するためにQFNパッケージを採用しています。またGND電位となる角ピンをモールド樹脂内に隠すことでピン間ショート故障による誤動作のリスクを低減しました。

TB9103FTGの製品価値③:

メカニカルリレーから半導体(MOSFET)への切り替えに貢献

メカニカルリレーを半導体化(MOSFET)するメリットは静音化(リレー音が無くなる)、高信頼性化(寿命が延びる)、小型化(実装面積が小さくなる)です。
下図(図3)はそのイメージ図です

これは、図3 メカニカルリレーから半導体(MOSFET)への切り替えたイメージ図の画像です。
図3 メカニカルリレーから半導体(MOSFET)への切り替えたイメージ図

TB9103FTG主要スペック

電源(VB、VCC)は12Vバッテリシステムの使用を想定しています。スペックが保証されるチップ温度は-40℃~150℃でありこれはAEC-Q100[注3]の規定においてGrade1に相当します。
本製品はチャージポンプを搭載しており外付けNch-MOSFETを駆動できるものとなっています。主要スペックを以下に示します(表2)。

動作電圧範囲(抜粋)

Item Symbol Terminal Limit Values  
Min Max Unit
電源電圧動作範囲1 VCCrng VCC 4.5 5.5 V
電源電圧動作範囲2 VBrng VB 7 18 V

電気的特性(抜粋)


特に指定がない場合、VB=7~18V、VCC=4.5~5.5V(VB≧VCC)、Ta=-40~125℃とします。

Item Symbol Terminal Limit Values  
Min Typ. Max Unit
チャージポンプ電圧 VCP1 VCP VB+5 VB+11 VB+14 V
ハイサイドGS間
駆動電圧
VGSHSSRC1 GH1、GH2 VCP-VB
-0.2
- VCP-VB V
VGSHSSNK1 GH1、GH2 - - 0.5 V
ローサイドGS間
駆動電圧
VGSLSSRC1 GL1、GL2 8.9 11 14 V
VGSLSSRC2 GL1、GL2 VB-0.1 - VB V
VGSLSSNK1 GL1、GL2 - - 0.5 V
ハイサイドGS間
駆動出力抵抗
ソース方向
Ronhssrc GH1、GH2 250 500 1000 Ω
ハイサイドGS間
駆動出力抵抗
シンク方向
Ronhssnk GH1、GH2 20 50 150 Ω
ローサイドGS間
駆動出力抵抗
ソース方向
Ronlssrc GL1、GL2 250 500 1000 Ω
ローサイドGS間
駆動出力抵抗
シンク方向
Ronlssnk GL1、GL2 20 50 150 Ω

設定

MODE設定:
Hブリッジモード/Half-ブリッジモードの2種類のモード選択が可能

VDS検出レベル設定:
外付けNch-MOSFETのドレインとソース間電圧異常を監視する機能の設定です。
検出レベルを4設定(機能無効、0.3V、0.6V、0.9V)が可能

製品評価ボードの無償貸し出し

お客様において容易にTB9103FTGの特性が確認できるよう評価ボードの無償貸し出しを行っております。もちろんエンジニアリングサンプルの提出も可能です。当社営業、当社ビジネスパートナー様にご用命をお願いします。
評価ボードのサイズは95mm×75mm。お客様の利便性を考慮し、スイッチ、ジャンパー、コネクターを適宜実装しています。

現在当社は、車載機器向けモーターを制御するICの製品ラインナップ化に取り組んでいます。お客様のご要望に応えるべく、ICに内蔵する機能やその性能を最適化した製品を市場に投入する考えのもと、車載機器の電動化や快適性向上に貢献していきます。

[注1] Electronic Control Unitの略で基板に電子部品が搭載された機器のこと。
[注2] 2022年4月当社調べ。
[注3] Automotive Electronics Councilという団体が規定した車載IC向けの信頼性試験などの規格

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