高速スイッチングを実現した小型フォトリレー

半導体テスターにおける製品テスト時間の高速化に貢献
これは、高速スイッチングを実現した小型フォトリレー 半導体テスターにおける製品テスト時間の高速化に貢献の画像です。

当社は、半導体テスター向け低電圧駆動フォトリレー「TLP3450S」を製品化しました。
半導体テスター (ATE: Automated Test Equipment) は、システムLSIや半導体メモリーなどの被測定デバイス (DUT: Device Under Test) の指定されたピンに電圧や電流を印加して、DUTが正しい動作をしていることを検査します。DUTの指定されたピンの経路切り替えにソリッドステートリレーの一種であるフォトリレー (MOSFET出力) が多数使われています。
ATEは、多数のピンを持つDUTを一度に多く測定するために、スループット向上が求められています。その要求に対し、フォトリレーとしては経路切り替えによる測定時間のロスを少なくするため、高速スイッチングの実現が求められます。また、限られた基板に多数実装するための小型化が求められます。
新製品TLP3450Sは、高速スイッチング (ターンオン時間短縮) の実現のため、当社独自の技術により赤外LEDの光出力向上を図るとともに、受光素子 (フォトダイオードアレイ) の最適化も図りました。これにより、新製品のスイッチング時間 (ターンオン時間) は、従来製品TLP3450の40%となる80μs (最大) を実現しました。また、TLP3450Sは出力オフ時の高周波信号漏れに影響する出力端子間容量が小さく、出力オン時の信号減衰に影響するオン抵抗が低いです。さらに、小型S-VSON4Tパッケージを採用することで多数実装へ対応しました。これらの特性により、TLP3450SはDUTに与える信号の劣化を抑え、かつ高速・多数の信号切り替えをしながら計測しなければならない半導体テスターのピンエレクトロニクス向け半導体スイッチとして適しています。
また、小型という特長から、ATE応用に限らずPLC (Programmable Logic Controller) をはじめとした産業機器など、幅広くお使いいただける半導体スイッチです。

図 1. 半導体テスター (ATE) 全体図
図 1. 半導体テスター (ATE) 全体図

製品の特長

  1. ターンオン時間が速い
  2. 出力端子間容量が小さい
  3. 高密度実装に対応した小型パッケージS-VSON4T

1. ターンオン時間が速い

図 2. 半導体テスター 測定回路
図 2. 半導体テスター 測定回路

ATEでは限られた時間に多数の端子を持つDUTを数多く測定することが求められます。フォトリレー自身のスイッチング時間が遅いとDUTのテスト時間が長くなります。本製品ではターンオン時間として従来製品の40%となる80μs (最大) を実現しました。これによりシステム全体のスループット向上に寄与します。

2. 出力端子間容量が小さい

図 3. COFFによる漏れ電流
図 3. COFFによる漏れ電流

フォトリレーの出力側 (MOSFET側) がオフの状態の端子間静電容量を出力端子間容量といい、COFFで表します。パルスなどの直流以外の信号を制御する場合、フォトリレーオフ時にこの容量を通して信号が漏れることになります。とくにATEでは精度の高いDUT計測が求められますが、COFFが大きいと漏れ電流が流れやすくなるため好ましくありません。従来製品のCOFFは0.8pF (typ.) ですが、本製品では0.6pF (typ.) を実現しました。オフ時の信号漏れをさらに抑制できます。

3. 高密度実装に対応した小型パッケージS-VSON4T

図 4. テストヘッド詳細
図 4. テストヘッド詳細

テストヘッドはデバイスパワーサプライ (DPS) とピンエレクトロニクス (PE) の大きく2つのエリアがあります。ATEでは多数のDUTを一度に測定するために、リレーで電源や信号を切り替えることを行います。テスターの高速処理化などの技術革新は目まぐるしく、一方で低コスト化や高信頼性にも対応しなければならない半導体テスターではテストボードの高密度化は避けられない状況です。従来のメカニカルリレー (メカリレー) ではこれらの要求に対応することができず、半導体リレー (フォトリレー) がとって代わっており、限られた基板スペースに多くのフォトリレーが実装されています。新製品TLP3450Sは実装集積密度向上に貢献できる小型パッケージS-VSON4T (1.45mm×2.0mm (typ.)、t=1.4mm (max)) を採用し、従来製品TLP3450から実装面積を約18%削減しました。

応用機器

PLCアナログインターフェースの応用例
PLCアナログインターフェースの応用例
  • 半導体テスター (高速メモリーテスター、高速ロジックテスターなど)
  • プローブカード
  • 各種計測機器
  • 産業用機器

* 例えばPLC (Programmable Logic Controller) のような、小さな筐体に多数のインターフェースを持つような応用にも最適です。

新製品の主な仕様

(特に指定のない限り、Ta=25°C)

品番

TLP3450S

データシート

PDF: 521KB

パッケージ

当社名称

S-VSON4T

サイズ (mm)

1.45×2.0 (typ.)、t=1.4 (max)

接点方式

1a

(ノーマリーオープン)

絶対最大定格

阻止電圧 VOFF (V)

20

オン電流 ION (mA)

160

オン電流 (パルス) IONP (mA)

480

動作温度 Topr (°C)

-40~110

結合特性

トリガーLED電流 IFT (mA)

Max

3.0

オン抵抗 RON (Ω)

Typ.

6.8

Max

8.5

電気的特性

端子間容量 (出力側) COFF (pF)

Typ.

0.6

スイッチング特性

ターンオン時間 tON (μs)

RL = 200Ω、

VDD = 10V、

IF = 5mA

Max

80

ターンオフ時間 tOFF (μs)

120

絶縁特性

絶縁耐圧 BVS (Vrms)

Min

500

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