スタンバイ時からの高速応答性で機器の電源ラインの出力安定化に貢献する小型・低ノイズLDOレギュレーター

これは、スタンバイ時からの高速応答性で機器の電源ラインの出力安定化に貢献する小型・低ノイズLDOレギュレーターの画像です。

当社は、モバイル機器やウエアラブル端末などの小型機器向けとして、電源ラインに安定した電圧を出力するLDOレギュレーター「TCR5FMシリーズ」35品種を製品化しました。

近年、ウエアラブル製品はハイパフォーマンスな動作と長いバッテリー持続時間を求められており、それを実現するために低消費動作と高速動作を繰り返す傾向があります。この動作モードの切り替えは電源ラインが不安定になるため、電源ラインの出力安定化に貢献するLDOレギュレーターが求められています。

新製品TCR5FMシリーズは、当社従来製品であるTCR3RMシリーズと比較して、出力電圧の変動を素早く検知してフィードバックすることで、スタンバイ時からの負荷過渡応答特性が約80%向上[注1]しており、急激な負荷変化が発生したときでも出力電圧の変動が小さくなります。さらに、バンドギャップ回路、ローパスフィルター[注2]、および高速・低ノイズのオペアンプを組み合わせることで、業界トップクラス[注3]の高リップル圧縮度[注4]91dB (typ.)[注5]を実現しています。これにより、ノイズ除去能力が高まり、低ノイズで電圧を出力できます。これらの特性により、新製品は電源ラインの出力安定化に貢献し、CMOSセンサーや高周波回路用電源など、ノイズに敏感な用途に適しています。

最大出力電流は500mAであり、動作温度範囲は最大125°Cまで対応しています。出力電圧は0.9Vから5.0Vまでの範囲で35品種をラインアップしており、用途に応じた選択が可能です。

パッケージは、1×1mmの小型DFN4Dパッケージを採用しており、高密度実装が求められるモバイル機器やウエアラブル端末などに適しています。

当社は今後も、LDOレギュレーターシリーズのラインアップを拡充し、多様なニーズに応える製品開発を推進します。

[注1] 当社実測値。測定条件: VIN=3.3V、VOUT=2.8V、IOUT=0mA ⇔ 100mA、tr=1.0μs、tf=1.0μs、Ta=25°C
[注2] 低周波数成分のみを通過させ、高周波数成分を遮断するフィルター。
[注3] 最大出力500mAのLDOレギュレーターで、2025年10月現在、当社調べ。
[注4] 電源除去率PSRR (Power Supply Rejection Ratio) とも称されるリップル圧縮度は、入力電圧に重畳されたリップル電圧成分 (ノイズ) が出力電圧へどの程度伝達されるかを、入力リップル電圧と出力リップル電圧との比として定量的に示す指標。
[注5] 当社実測値。測定条件: CIN=none、COUT=1.0μF、VIN=3.3V、VOUT=2.8V、VIN Ripple=200mVp-p、IOUT=10mA、Ta=25°C

新製品の主な特長

  1. 速い負荷過渡応答: ΔVOUT=-75/+25mV (typ.) (IOUT=0mA ⇔ 100mA、VOUT=2.8V)
  2. 高いリップル圧縮度: R.R.=91dB (typ.) (f=1kHz、VOUT=2.8V)
  3. 低い出力雑音電圧: VNO=5μVrms (typ.) (10Hz≦f≦100kHz)

特長の解説

1. 速い負荷過渡応答: ΔVOUT=-75/+25mV (typ.) (IOUT=0mA ⇔ 100mA、VOUT=2.8V)

TCR5FMシリーズは、急激な負荷変化に対する速い応答性能を備えています。無負荷からの応答は当社従来製品であるTCR3RMシリーズと比較して、約80%向上しており[注1]、2.8V出力で0mA ⇔ 100mAの負荷過渡応答は-75mV/+25mV (typ.) です。また、有負荷からの応答も優れており、2.8V出力で1mA ⇔ 500mAの負荷過渡応答は-60mV/+40mV (typ.) です。これにより、後段の回路の安定動作に貢献します。

図 1. 従来製品と新製品の負荷過渡応答特性の比較 (VIN=3.3V、VOUT=2.8V、IOUT=0mA ⇔ 100mA、tr=1.0μs、tf=1.0μs、Ta=25°C)

図 1. 従来製品と新製品の負荷過渡応答特性の比較
(VIN=3.3V、VOUT=2.8V、IOUT=0mA ⇔ 100mA、tr=1.0μs、tf=1.0μs、Ta=25°C)

2. 高いリップル圧縮度: R.R.=91dB (typ.) (f=1kHz、VOUT=2.8V)

リップル圧縮度は入力電圧に重畳されたリップル電圧成分と、そのときに出力電圧に現れるリップル電圧成分の比を示すものです。TCR5FMシリーズはバンドギャップ回路、ローパスフィルター[注2]、高速・低ノイズのオペアンプを組み合わせることで、高いリップル圧縮度を実現しています。3.3V入力、2.8V出力で91dB (typ.) (f=1kHz) と業界トップクラス[注3]の性能を持っています。これにより、低ノイズで出力できます。

図 2. リップル圧縮度特性 (CIN=none、COUT=1.0μF、VIN=3.3V、VOUT=2.8V、VIN Ripple=200mVp-p、IOUT=10mA、Ta=25°C)

図 2. リップル圧縮度特性
(CIN=none、COUT=1.0μF、VIN=3.3V、VOUT=2.8V、VIN Ripple=200mVp-p、IOUT=10mA、Ta=25°C)

3. 低い出力雑音電圧: VNO=5μVrms (typ.) (10Hz≦f≦100kHz)

出力雑音電圧とは、LDOの出力電圧に発生するノイズの積算値です。TCR5FMシリーズは3.3V入力、2.8V出力で5μVrms (typ.) (10Hz≦f≦100kHz) と業界トップクラス[注3]の性能を持っています。これにより、低ノイズで出力できます。
新製品は、高感度なアナログ回路やRF回路、センサー電源など、ノイズに敏感なアプリケーションに適しています。

図 3. 出力ノイズ特性 (CIN=1.0μF、COUT=1.0μF、VIN=3.3V、VOUT=2.8V、IOUT=10mA、Ta=25°C)

図 3. 出力ノイズ特性
(CIN=1.0μF、COUT=1.0μF、VIN=3.3V、VOUT=2.8V、IOUT=10mA、Ta=25°C)

アプリケーション

  • モバイル機器、ウエアラブル機器、IoT機器など

新製品の主な仕様

品番 TCR5FMシリーズ
パッケージ 名称 DFN4D
サイズ (mm) Typ. 1.0×1.0、t=0.37
動作範囲
(Topr=-40~125°C)
出力電流 IOUT (mA) 500
入力電圧 VIN (V) 1.55~5.5[注6]
出力電圧 VOUT (V) 0.9~5.0
電気的特性
(特に指定のない限り、Tj=25°C)
バイアス電流 IB(ON) (µA)
IOUT=0mA[注7]
Typ. 10
Max 20[注8]
ドロップアウト電圧 VDO (mV)[注9]
IOUT=500mA、VOUT=2.8V
Typ. 220
Max 337[注8]
負荷過渡応答 ⊿VOUT (mV)
IOUT=1mA ⇔ 500mA、VOUT=2.8V
Typ. -60/+40
負荷過渡応答 ⊿VOUT (mV)
IOUT=0mA ⇔ 100mA、VOUT=2.8V
Typ. -75/+25
リップル圧縮度 R.R. (dB)
f=1kHz、IOUT=10mA、VOUT=2.8V
Typ. 91
出力雑音電圧 VNO (µVrms)
VOUT=2.8V、IOUT=10mA、10Hz≦f≦100kHz
Typ. 5
コントロール電圧 (HIGH) VCTH (V) Min 0.79[注8]
コントロール電圧 (LOW) VCTL (V) Max 0.4[注8]
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[注6] データシートに記載している出力電圧別ドロップアウト電圧表をご参照の上、絶対最大定格のジャンクション温度および動作温度の範囲内でご使用ください。
[注7] コントロールプルダウン電流 (ICT) は含まれていません。
[注8] Tj=-40~125°C
[注9] VDO=VIN1-(VOUT1×0.97)
        VOUT1は VIN=VOUT+0.5Vのときの出力電圧です。
        VIN1は入力電圧を徐々に下げていき、出力電圧がVOUT1の 97%に降下した時点での入力電圧値です。

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