2-4.突入電流抑制機能

LDOレギュレーターに入力電圧が印加されて、0 Vから急速に上昇するときに入力がLDOレギュレーターの最低動作電圧を超えると安定した電圧を出力しようと動作します。このとき、LDOレギュレーター内部のエラーアンプは設定された電圧を出力まで上昇させるように、VIN端子とVOUT端子の間に接続された出力段トランジスターを最大能力で駆動します。出力電圧が設定値まで上昇するとLDOレギュレーターは設定された電圧を安定して出力させようとしますが、内部回路の遅延時間などにより出力電圧にオーバーシュートが発生して負荷であるICや回路の定格電圧を超えることがあります。
また、LDOレギュレーターが動作してからの出力電圧が安定するまでの間、VOUT端子に接続された出力の平滑コンデンサーを充電するためにLDOレギュレーターには大きな突入電流が流れます。このとき、VIN端子の配線インピーダンスが大きいと突入電流と配線インピーダンスの電圧降下により入力電圧が低下して正常な出力電圧を得られない可能性があります。
このような状態を回避させるための機能が突入電流抑制機能です。
突入電流抑制機能は、LDOレギュレーターが動作を開始すると、突入電流を制限しながら出力電流を緩やかに上昇させて、出力電圧のオーバーシュートや入力電圧の低下を抑えてます。突入電流抑制機能により、安定なシステムを構築することができます。
なお、突入電流抑制機能は、スルーレート制御やソフトスタートとも呼ばれることがあります。

突入電流抑制機能がない場合のイメージ図
突入電流抑制機能がない場合のイメージ図
突入電流抑制機能がある場合のイメージ図
突入電流抑制機能がある場合のイメージ図

突入電流抑制機能については次のリンク先にも説明が記載されていますのでご参照ください。

アプリケーションノート  「ロードロップアウト レギュレーターIC(LDO)の基礎

FAQ  「LDOがオンしたとき、大きな突入電流が流れてしまいます。どのように対策すれば良いですか?」 

FAQ  「LDOのコントロール電圧を入力した後、出力電圧をオーバーシュートさせないためにはどうしたら良いですか?

突入電流抑制機能を内蔵したLDOレギュレーターのラインアップは下記のパラメトリックサーチから検索することができます。

突入電流抑制機能を内蔵したLDOレギュレーターのパラメトリックサーチ

2章 LDOが搭載している便利な機能

2-1.LDOレギュレーターが内蔵している便利な機能
2-2.過電流保護の動作
2-3.過熱保護の動作
2-5.オートディスチャージ
2-6.低電圧誤動作防止 (UVLO)

関連情報