3-2 ESD侵入時の重要特性①

図3.8 ESD保護用ダイオードダイナミック抵抗と電流
図3.8 ESD保護用ダイオードダイナミック抵抗と電流

3-2-① ダイナミック抵抗 (RDYN) が低いこと

ESDパルスが侵入したとき、ESD保護用ダイオードと保護対象の両者に電流は流れます。保護対象に流れる電流をいかに少なくするか (ESD保護用ダイオードにいかに多くの電流が流れるか?) が重要です。
最近のESD保護用ダイオードではダイナミック抵抗 (RDYN) がデータシート上に規定されています。RDYNは逆方向オン時の傾きです。RDYN の低い製品ほどESDパルス印加時に、同一電圧でより大きな電流が流れることになります。
コネクター側から見るとESD保護用ダイオードと保護対象のインピーダンスは並列です。ESD保護用ダイオード のインピーダンス (ダイナミック抵抗) が低ければ、大部分の電流はESD保護用ダイオード に流れ保護対象に流れる電流は小さくなります。これにより保護対象がESDパルスで破壊される可能性が下がります。

図3.9 ESD保護用ダイオードのダイナミック抵抗の役割り
図3.9 ESD保護用ダイオードのダイナミック抵抗の役割り

図3.9にダイナミック抵抗 (RDYN) 算出およびESDパルス印加時の電流のイメージを示します。ESD保護用ダイオードのインピーダンス (ダイナミック抵抗) が低ければ、大部分の電流サージ電流はESD保護用ダイオードに流れ保護対象に流れる電流は小さくなります。よって保護対象をESDパルスによる破壊からより防ぐことができます。TLP (Transmission Line Pulse) 測定はnsオーダーの短パルスを与え、その時の電流および電圧と時間の関係からI-V特性を把握する試験手法です。グラフではこの電圧をTLP V (V)、電流をTLP I (A) として示しています。

3 TVSダイオード (ESD保護用ダイオード)の重要特性

3 TVSダイオード (ESD保護用ダイオード) の重要特性
3-1 通常動作時 (ESDパルス非侵入時) の重要特性①
3-1 通常動作時 (ESDパルス非侵入時) の重要特性②
3-1 通常動作時 (ESDパルス非侵入時) の重要特性③
3-2 ESD侵入時の重要特性②
3-2 ESD侵入時の重要特性③

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