双方向バスバッファーについて、伝送方向切り替え時に注意することはありますか?

このデバイスは双方向の切り替えを簡易に実現できるデバイスですが、バスバッファーの出力の衝突や入力のフローティングに注意が必要です。

各注意事項について説明を追加します。

  1. 切り替え時にバスバッファーの出力と他のバッファーの出力が衝突しないこと
    → 他の出力と衝突すると異常出力になるばかりでなく、大電流が流れデバイスが損傷することがあります。
  2. 入力がフローティング(Openやハイインピーダンス状態 Hi-Z)にならないこと
    → フローティング状態は電磁妨害(EMS)の影響を受けやすく、また、リーク電流などによる寄生容量への電荷蓄積により異常値が出力されたり、発振したりする可能性があります。

双方向バスバッファーの例として、74VHC245の等価回路を図-1に、真理値表を表-1に示します。
/Gが”H”レベルの場合は全入出力端子がフローティングになるため、電源にプルアップ、またはGNDにプルダウンする必要があります。

図-1 双方向バスバッファー(74VHC245)の等価回路
図-1 双方向バスバッファー(74VHC245)の等価回路
表-1 双方向バスバッファ―(74VHC245)の真理値表

表-1 双方向バスバッファ―(74VHC245)の真理値表

具体的なタイミング例を図-2のタイミングチャートで説明します。
双方向バスバッファーはAバスとBバスの間に接続されています。初期状態はA端子側が入力、B端子側が出力になっています。
従って、Aバスの信号がBバスに伝送されています。このときBuffer Yはディセーブル(出力の無い)状態です。

図-2 双方向バスバッファ―のタイミングチャート
図-2 双方向バスバッファ―のタイミングチャート
  1. 双方向バスバッファーをディセーブルにします。(/G = “H”)
    切り替えには tpLZの時間がかかります。切り替え完了後、A端子とB端子はHi-Zになります。従って、それぞれの端子にプルアップ抵抗 Rpullup1 / Rpullup2 などにより端子の電位を安定させる必要があります。バスホールド機能のある製品ではプルアップ抵抗などは不要です。
  2. 伝送方向切り替え後に出力が衝突するので、バスバッファーがディセーブル状態の間にBuffer Xの出力をディセーブルに、Buffer Yの出力をイネーブルにします。
    また、この間に伝送方向切り替え入力 DIR を “L” ⇒ “H”に切り替えます。
  3. バスバッファーをイネーブル状態にします。(/G = “L”)

DIR端子の切り替え(“L”→“H”、 “H”→“L”)の区間、イネーブル端子(/Gまたは/OE)切り替えの区間(tpLZまたはtpHZ、tpZL、tpZH)は内部回路のモード移行の時間です。この区間の出力は“H” “L”、またはその中間値になり明確に定義できません。この区間の出力値は保証の範囲外になります。この区間を避けて設計ください。

関連リンク

以下の資料にも関連する説明がありますので、ご参照ください。

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