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MOSFETに絶対最大定格のドレイン・ソース間電圧VDSSを超えた電圧を印加するとブレークダウン領域に入り素子は破壊します。ただし、一部の製品ではデータシートなどに記載された既定の条件下でVDSSを超えることを許容しています。この許容できるエネルギー量をアバランシェ耐量と呼びます。
MOSFET は回路の浮遊インダクタンスなどにより、ターンオフ時にサージ電圧がドレイン・ソース間電圧に重畳され、時にはドレイン・ソース間電圧が素子の最大定格を超えブレークダウンします。
ただし、MOSFETは、ある一定のエネルギー、ドレイン電流以内でかつ定格チャネル温度(Tch)以下であれば、定格電圧のVDSSを超えても破壊しないという性能があります。これをアバランシェ耐量と呼び、許容される単発エネルギーをアバランシェエネルギー(EAS)、電流をアバランシェ電流(IAS)といいます。
MOSFETのアバランシェ測定回路を図1に、アバランシェを考えるためのMOSFET等価回路を図2に示します。図2の薄くなっている部分は寄生素子の一部です。また、この測定回路の電圧・電流波形を図3に示します。図1では測定のため浮遊インダクタンスではなくインダクタンスLを回路に挿入しています。
外部から電圧VDDを印加しゲート電圧 VGSでMOSFETをコントロールします。t0でゲート電圧を下げMOSFETがオフすると、オン時に流れていたIDはすぐにゼロにはならずインダクタンスの影響で継続して流れようとします。このため、MOSFETのドレイン電圧VDSは上昇し、図3に示すようにドレイン・ソース間電圧の最大定格VDSSも超えます。最終的に図2の寄生ダイオードD1がアバランシェ降伏してBVDSSとなります。このとき電流IASが大きいと寄生のNPNトランジスターTR1がオンし大電流が流れMOSFETが破壊する可能性があります。MOSFETが破壊しないレベルで一時的にVDSSを超えることを許容するデバイスがあります。
アバランシェ耐量の適応可否・適用範囲は各素子によっても異なりますので、詳細は当社営業窓口、または当社Webサイトのお問い合わせフォームからお問い合わせください。
以下の資料にも関連する説明がありますので、ご参照ください。