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電力を供給、制御する役目を果たすパワー半導体は、あらゆる電気機器の省エネルギー化やカーボンニュートラルの実現に不可欠な半導体であり、自動車の電動化や産業機器の小型化などを背景に、今後も継続的な需要拡大が見込まれています。SiC(シリコンカーバイド)は、従来のSi(シリコン)よりも高耐圧、低損失化が可能な次世代のパワー半導体材料として注目されていますが、信頼性の向上が課題となっています。
そこで、当社の第3世代SiC MOSFETは、以下の特長を有しています。
当社の第3世代SiC MOSFETは、650 V耐圧および1200 V耐圧の製品をラインアップしており、サーバー、無停電電源装置(UPS)、太陽光インバーターなどのアプリケーション向けに使用され、機器の低損失化に貢献します。
以下に、当社の第3世代SiC MOSFETの特長を詳しくご紹介いたします。
1. ショットキーバリアダイオード(SBD)を内蔵し、低VDSFとオン抵抗RDS(ON)変動を抑制
当社の第3世代SiC MOSFETでは、ドレイン・ソース間に存在するPNダイオードと並列に、ショットキーバリアダイオード(SBD)を内蔵することで、逆導通時の順方向電圧VDSFを1.35 V (typ.) に低減しました。
また、SBDに通電させることで、SiC結晶中の欠陥が広がることで起こるドレイン・ソース間のオン抵抗RDS(ON)の変動を抑制しました。
電流密度250 A/cm2でソースからドレインへ1000時間の通電を実施したところ、SBDが非内蔵のSiC MOSFETでは、ボディダイオードに通電させることになるため、オン抵抗RDS(ON)が最大で42 %変動しました。
一方で、SBDを内蔵した第3世代SiC MOSFETでは、SBDに通電させることができるため、オン抵抗RDS(ON)が最大でも3 %の変動に抑えることができました。
2. 導通損失とスイッチング損失の性能指数:RDS(ON) × Qgdを低減
当社の第3世代SiC MOSFETでは、セル構造を最適化したことにより、従来の当社第2世代製品と比べて、導通損失とスイッチング損失の関係を示す性能指数RDS(ON) × Qgdを80 %低減[注]しました。
測定条件
RDS(ON): VGS = 18 V, ID = 20 A, Ta = 25 ℃
Qgd: VDD = 800 V, VGS = 18 V, ID = 20 A, Ta = 25 ℃
(2022年5月、当社比)
3. 広いゲート・ソース間電圧VGSS規格範囲
当社の第3世代SiC MOSFETでは、ゲート・ソース間電圧VGSSの規格範囲が-10~25 Vと他社製品と比較して広いため、駆動電圧に対してマージンを広く取ることができゲートドライブ設計が容易になります。
(当社推奨駆動電圧: VGS_on = 18 V, VGS_off = 0 V)
[注] 当社第2世代SiC MOSFETのRDS(ON) × Qgdを1とした場合に、当社第3世代SiC MOSFETの1200 V耐圧製品のRDS(ON) × Qgdを比較したものです。
各種アプリケーションへの応用例は下記ページをご覧ください。
サーバー
無停電電源装置
LED照明
各種アプリケーションノートは下記ページをご覧ください。
第3世代SiC MOSFETの特長(PDF:1,669KB)
FAQ: SiC MOSFET アプリケーションノート(PDF:976KB)
SiC MOSFETとSi IGBTの損失比較:SiC MOSFET アプリケーションノート(PDF:1,169KB)
絶対最大定格と電気的特性:SiC MOSFET アプリケーションノート(PDF:1,300KB)
よくあるお問い合わせは下記ページをご覧ください。
MOSFET
各種シミュレーションモデルをご利用いただけます。
* PSpice®は、Cadence Design Systems, Inc. の登録商標です。
* LTspice®はADI社(Analog Devices、Inc.)のシミュレーション・ソフトウェアおよびその登録商標です。
* SIMetrix®はSIMetrix Technologies Ltd.のシミュレーション・ソフトウェアおよびその登録商標です。
* その他の社名・商品名・サービス名などは、それぞれ各社が商標として使用している場合があります。